素直になれない競技者へ──受け取れない自分を超えるための新しい視点

素直さって聞いて、何を思い浮かべますか?
「人の話を聞けること」 「アドバイスを受け入れること」 「謙虚であること」 「言われたことを素直にやること」
人によって、いろんなイメージがあると思います。
そんな色々ある中で、今回のテーマは、"素直になりたいのに、なれない" そんな競技者のための話です。
素直になった方がいいのは分かっている。
それなのに、受け取れない。
こういう選手は少なくないと思う。
実績のある先輩からの助言
コーチのアドバイス
チームメイトの何気ない一言
そして、下のカテゴリーの選手からの意見
頭では分かっている。 「聞いた方がいい」「取り入れた方がいい」 そんなことは百も承知。
けれど、心が動かない。 受け取れない。 反発してしまう。 距離を置いてしまう。
そんな自分に、あとで落ち込む。
「なんで素直になれないんだろう」 「なんでこんなに意地を張ってしまうんだろう」 「なんで下のチームの人の言葉を受け取れないんだろう」
そうやって、自分を責めてしまう。
でもね。 ここには、もっと深い理由がある。
素直になれないのは、弱さではない。
素直になれないのは弱さではなく、むしろ守ろうとしているサイン。
素直になれない人は、 頑固だからでも、性格が悪いからでもない。
自分の価値を守ろうとしているだけ。
もっと言えば、
「自分はこうでありたい」というセルフイメージを壊されたくない。
だから、受け取れない。
自分より実績がある人の言葉 →「自分の未熟さを突きつけられる気がする」
同じチームの仲間の言葉 →「比べられている気がする」
下のカテゴリーの選手の言葉 →「自分の立場が揺らぐ気がする」
つまり、 アドバイスそのものではなく、 自分の価値が脅かされる感覚が苦しい。
だから、心が閉じる。
これは弱さではない。 人間として自然な反応。
だけど、競技者としては、ここが大きな壁になる。
人を順位で見てしまうと、素直さは消えていく
競技の世界には、 どうしても序列が生じる。
Aチーム 、Bチーム 、スタメン、 ベンチ 、レギュラー 、控え 、上手い、 下手 、実績がある、実績がない
こうしたラベルが、 人を見るときのフィルターになってしまう。
そして、こう思ってしまう。
「自分より下の人からのアドバイスは受け取れない」 「実績がない人の言葉は響かない」 「自分より上の人の言葉は痛すぎる」
ここに大きな誤解がある。
人の価値は、順位では決まらない。
Aチームの人も Bチームの人も スタメンも 控えも 上手い人も 伸び悩んでいる人も
みんな"人"でしかない。
ラベルは、ただのラベル。 その人の本質ではない。
ラベルを外すと、世界が変わる
「Aチームだから正しい」 「Bチームだから間違っている」 「実績がある人の言葉だけが価値がある」
そんな世界で生きていると、 素直さはどんどん失われていく。
逆に──
"人を人として見る"ことができると、 素直さは自然と戻ってくる。
たとえば、
- Bチームの選手が、あなたの弱点を見抜いているかもしれない
- 実績のない選手が、あなたの気づかない視点を持っているかもしれない
- 年下の選手が、あなたよりも冷静に状況を見ているかもしれない
- 自分より下手だと思っていた選手が、あなたの技術のヒントを持っているかもしれない
- ラベルを外すと、 世界は情報で満ちている。
あなたの成長を加速させるヒントは、どこにでも落ちている。
だけど、 ラベルを貼った瞬間に、 そのヒントは見えなくなる。
素直さ=言われたことを全部受け入れること ではない。
素直さとは、
「誰の言葉でも、一度フラットに受け取る姿勢」
これだけ。
受け取ったあとに、 取捨選択すればいい。
全部やる必要なんてない。
だけど、 最初からシャットアウトしてしまうと、 成長のチャンスはゼロになる。
素直になれない人が、最初にやるべきこと
それは、
人を順位で見ないと決めること。
Aチーム、 Bチーム 、上手い、 下手、 年上、 年下、先輩、後輩、 実績がある、 実績がない
こうしたラベルを、 一度全部外してみる。
すると、 驚くほど世界が変わる。
- 言葉が入ってくる
- 気づきが増える
- 心が軽くなる
- 自分の成長スピードが上がる
- 人間関係が楽になる
素直さは、心の柔らかさではなく 視点の柔らかさから生まれる。
最後に──素直になれない自分を責めないでほしい
素直になれないのは、 あなたが弱いからでも、 心がひねくれているからでもない。
むしろそれは、 「自分の価値を守ろうとしてきた証拠」。
人は、自分の大切なものほど守りたくなる。 プライドも、努力も、積み重ねてきた時間も。 それらを否定されるように感じた瞬間、 心は自然と固くなる。
それは防衛反応であって、欠点ではない。 あなたが真剣に競技と向き合ってきた証でもある。
だけど、もしあなたが、今よりもう一段上のステージを目指しているなら、 その守りをほんの少しだけ緩めてみてほしい。
完全に手放す必要なんてない。 全部を受け入れる必要もない。
ただ、 「一度だけフラットに受け取ってみる」 その姿勢が、あなたの未来を大きく変える。
ラベルを外す。 順位を外す。 肩書きを外す。 年齢も、実績も、上下関係もいったん脇に置く。
そして、人をただの人として見る。
その瞬間、 あなたの世界は驚くほど静かに、でも確実に広がり始める。
これまで届かなかった言葉が届くようになる。 見えなかった景色が見えるようになる。 自分の中に眠っていた可能性が、顔を出す。
そして気づくはず。
「素直になれなかった自分も、ずっと頑張っていたんだ」 「だからこそ、素直になった自分はもっと強い」
そう思える日が、必ず来る。
その小さな変化が、あなたを次の景色へ連れていく。
最後までお読み頂きありがとうございました。
コラム著者