スポーツメンタルコーチ上杉亮平
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競技者の「感性」は再現性をつくる──誤差に気づきプレーを整えるための視点

 

競技を誤差を減らすゲームと捉えてみる

競技のパフォーマンスは、派手な技術や大きな変化だけで決まるわけではない。 実際には、誤差をどれだけ小さくできるかで勝敗が分かれる。

フォームのわずかなズレ。 タイミングの半拍の遅れ。 重心の1cmの流れ。 呼吸の浅さ。 判断の0.1秒の迷い。

こうした微差が積み重なると、プレーの質は大きく変わる。

競技とは、 誤差を減らし、精度を高めるゲームだと捉える事ができる。

そして誤差を減らすために必要なのが、「感性」という力。

ここでいう感性は、 曖昧な感覚やスピリチュアルな話ではない。 自分の動き・状態・周囲の変化に気づく力のこと。

このコラムでは、 感性=誤差に気づく力 × 情報の読み取り × 判断の質 という視点から、競技者にとっての感性の本質を整理していく。

 

誤差に気づける選手と気づけない選手の違い

誤差に気づける選手は、修正が速い。 誤差に気づけない選手は、ズレが大きくなってから崩れる。

この差は、技術の差ではない。 気づく力=フィードバック精度の差。

 

例えば、同じフォーム練習をしていても、

 

A選手は「今のは軸が少し流れた」と気づく

 

B選手は「なんかうまくいかない」で終わる

 

この差が積み重なると、 半年後には大きな差になる。

誤差に気づける選手は、 練習の吸収率が高い。 試合での修正力も高い。 崩れにくい。

つまり、 誤差に気づける=成長スピードも速くなる。

 

感性は「情報処理能力」

感性という言葉は曖昧に聞こえるが、 競技の文脈ではもっと具体的に説明できる。

感性とは、 身体・視覚・聴覚・空間認知などの情報を、瞬時に読み取る力。

競技中、選手は膨大な情報を受け取っている。

 

  1. 相手の動き
  2. ボールの軌道
  3. 自分の身体の位置
  4. 呼吸の状態
  5. 周囲のスペース
  6. リズムの変化

 

これらを瞬時に処理し、 最適な動きを選択する必要がある。

感性が高い選手は、この情報処理が速く、正確。

逆に感性が低い選手は、 情報の取りこぼしが多く、判断が遅れる。

つまり感性とは、 競技者の情報の読み取り精度と言える。

 

無意識の情報を拾う選手は判断が速い

トップ選手は、 「見えていた」「感じていた」とよく言う。

これは才能ではなく、 無意識の情報を拾う力が高いということ。

脳は、意識より無意識のほうが圧倒的に多くの情報を処理している。 意識が扱える情報は全体の2%以下。 残りは無意識が処理している。

感性が高い選手は、 この無意識の情報を判断に使える形で引き出せる。

 

相手の動き出しを予測できる選手は、相手の身体のわずかな前兆やリズムの変化を、他の選手よりも早く拾っている。 流れの変化にいち早く気づける選手は、プレーの中に生まれる違和感を見逃さない。 リズムのズレを即座に修正できる選手は、自分の動きと周囲の状況のズレを瞬時に読み取っている。

こうした選手に共通しているのは、 判断が速いのではなく、判断に必要な情報を誰よりも早く拾っているということ。

判断の速さは、反射神経の問題ではなく、情報を拾うタイミングが早いからこそ、判断が速く見えるだけ。

 

感性が高い選手は再現性が高い

競技で最も簡単ではないとされるのが、 「良いプレーを再現すること」。

感性が高い選手は、 自分の動きの再現条件を理解している。

 

  1. どのタイミングで力を入れたか

 

  1. どの位置で身体が安定したか

 

  1. どの呼吸で動きがスムーズになったか

 

こうした情報を正確に読み取っているため、 良い動きを再現しやすい。

逆に感性が低い選手は、 良いプレーが偶然になりやすい。

 

感性を深めるための具体的アプローチ

感性は才能ではなく、 経験と観察の積み重ねで深まっていくもの。

ここでは、競技現場で実際に使えるアプローチを紹介する。

 

動画を見て「違和感」を言語化する

動画を見るとき、ただ「良かった・悪かった」で終わらせてしまうと、気づきは深まらない。 大事なのは、自分が感じた違和感を言葉にしてみること。

 

たとえば、

 

  1. 軸がほんの少し傾いている

 

  1. タイミングが半拍ずれている

 

  1. 重心が流れている

 

  1. 力の入り方がいつもと違う

 

こうした微妙なズレは、言葉にしようとすると意外と簡単ではない。 だからこそ、この“つかみどころのなさ”に向き合うことが、感性を深める第一歩になる。

言語化は、 自分の中にあるぼんやりした感覚を、意識の表面に引き上げる作業として捉えてほしい。

そして、ここで使う言葉は、 必ずしも正確な専門用語である必要はない。

むしろ、 自分だけが分かるオノマトペや比喩のほうが、感性に近いことが多い。

 

「ズルッとした」 「フワッと抜けた」 「トンじゃなくて、タンだった」 「スッと入らず、ヌチャっとした」 「足が前に出たじゃなくて、前に逃げた感じ」など。

 

こういう言葉は、他の人には伝わらなくてもいい。 その人の身体が感じた生の情報だからこそ価値がある。

競技者にとって、 自分だけが理解できる言葉は、感性の一部。

その言葉を持っている選手は、 自分の動きをより細かく捉えられるし、 修正の精度も高くなる。

だから、動画を見るときは、 「正しい言葉」を探す必要はない。 自分の身体が感じたままを、 自分の言葉で表現すればいい。

その積み重ねが、 気づく力を確実に深めていく。

 

呼吸のチェック(練習前・練習後)

呼吸は身体の状態を最も反映する。

 

  1. 深さ

 

  1. リズム

 

  1. 吸う/吐くの比率

 

これを毎回チェックするだけで、 身体の変化に敏感になる。

 

制限付き練習(判断の質を上げる)

判断の質を上げたいときは、あえて選択肢を減らす練習が効果的になる。 選択肢が少ないほど、必要な情報だけを素早く拾えるようになり、処理のスピードが自然と上がる。

 

たとえば、

 

  1. 片側だけ使ってプレーする

 

  1. タッチ数を制限する

 

  1. スペースを狭くする

 

こうした制限は、選手に「何を見て、どう動くか」を明確にさせる。 余計な情報が減ることで、判断がシンプルになり、反応も速くなる。

そして、この情報の取捨選択を繰り返すことで、 自分に必要な情報を素早く拾えるようになり、感性の精度も深まっていく。

制限は選手を縛るためではなく、 判断の質を高めるための環境づくりでもある。

 

足裏・重心の観察

足裏の圧は、フォームのズレを最も反映する。

 

  1. どこに体重が乗っているか

 

  1. どの瞬間にズレるか

 

これを感じ取れる選手は、修正が速い。

 

感性は才能ではなく深まっていくもの

感性は、生まれつき決まっている才能ではない。 むしろ、日々の積み重ねによって後から深まっていく力。

 

誤差に気づけるようになる。

 

状況の変化を、少し早く拾えるようになる。

 

身体のわずかな違いに反応できるようになる。

 

判断が迷わなくなっていく。

 

気づけば、動きの再現性も前よりずっと安定している。

 

こうした変化は、特別な才能があるから起きるわけじゃない。 派手なきっかけがあるわけでもない。 ただ、日々の練習の中で「気づいたこと」をそっと拾い続ける。 その積み重ねが、少しずつ感性の精度を上げていく。

感性は、急に開花するものではなく、大きな出来事に引っ張られて伸びるものでもない。 むしろ、気づきの小さな粒を毎日ひとつ拾うような、 そんな静かな積み重ねの中で深まっていく。

 

今日気づけたことが、明日の自分の精度をつくる。 その積み重ねが、競技者としての感性を確かなものにしていく。

 

最後のメッセージ

感性は競技者の実践的な武器

感性は、曖昧な才能でも、特別な感覚でもない。 誤差に気づけるようになること。 状況の変化を読み取れるようになること。 判断が迷わなくなること。 動きの再現性が高まっていくこと。 そして、崩れにくい自分でいられること。

こうした変化を支えているのが、 派手ではないけれど確かに存在する感性という力。

 

技術や体力が競技者の土台をつくるなら、 感性はその土台を正しく使いこなすための軸になる。 どれだけ技術があっても、 どれだけ体力があっても、 気づけなければ整わない。 読み取れなければ活かしきれない。

だからこそ、感性も同じくらい大切にしてほしい。 鍛えるものではなく、深めていくものとして。

今日の練習で、ひとつだけでいい。 「気づいたこと」を拾ってみてほしい。 その小さな一歩が、半年後のあなたのプレーの質を、確実に変えていく。

感性は、競技者の実践的な武器。 そしてそれは、あなた自身の手で育てていける。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

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