競技者の成長を支える「素直さ × 謙虚さ」の関係性

成長する選手の心には、共通する特徴がある
競技の現場で選手と向き合っていると、 結果を出し続ける選手には、派手さとは無縁の静かな特徴があることに気づきます。
それは、 素直さと謙虚さを、自然に大切にしていること。
この二つは似ているようで、実はまた違う心の働きです。 そして、どちらか一方だけでは偏りが生まれ、 選手の成長がどこかで止まってしまうことがあります。
素直さと謙虚さ。 この二つがどのように選手の未来を支えていくのか。 今回は紐解いていきたいと思います。
素直さとは「心が動いたときに、身体も動けること」
素直さは、誰かの言葉に従うことではありません。 本質はもっとシンプルで、もっと強い。
心が動いたときに、身体も動ける柔らかさこれが素直さです。
- 新しい技術を試してみる
- 指摘を受けて動きを変えてみる
- 自分の癖を認めて修正してみる
素直さは、変化を恐れない柔らかさ。 その柔らかさが、選手の成長を静かに後押ししていきます。
ただし、素直さは行動に現れるため、 心が揺れていると続けることが簡単ではなくなることもあります。
謙虚さとは「自分を過大にも過小にも見ない、静かな姿勢」
謙虚さは、自分を低く扱うことではありません。 むしろその逆で、
自分を正しく見つめる姿勢と言ったほうが近いかもしれません。
- 自分の強みも弱みも受け止める
- 他者の価値を自然に認められる
- 成功を独り占めしない
- 失敗を過度に恐れない
謙虚さがあると、心に余裕が生まれ、状況判断が乱れにくくなります。 その積み重ねが、長い競技生活を支える安定感につながっていきます。
素直さと謙虚さは、似ているようでまったく違う
素直さと謙虚さは、どちらも柔らかさを含んでいます。 しかし、その柔らかさの向いている方向が違います。
素直さは、外からの刺激に対する柔らかさ
謙虚さは、内側の状態を整える柔らかさ
素直さは「受け取る力」。 謙虚さは「受け取れる状態をつくる力」。
この違いを理解すると、 なぜ両方が必要なのかが自然と見えてきます。
素直さだけが強いと、心が揺れやすくなる
素直さは行動の柔軟性ですが、 心が不安定なときは、誰の言葉でも信じてしまうことがあります。
素直さは大切ですが、 それだけでは流されやすさにつながることもあります。
謙虚さだけが強いと、動きが止まりやすくなる
謙虚さは心の余白ですが、 行動に移す力が弱いと、変化が遅くなることがあります。
謙虚さは大切ですが、 それだけでは慎重すぎる心になってしまうこともあります。
競技者に必要なのは「素直さ × 謙虚さ」のバランス
素直さと謙虚さは、どちらか一方では不十分です。 この二つがそろうことで、選手の心は安定し、行動は前に進みやすくなります。
謙虚さが、心の土台を整える
素直さが、行動の変化を生む
土台が整っているからこそ、 新しいものを受け取っても揺れにくい。
行動が変わるからこそ、 心の姿勢がさらに磨かれていく。
この循環が、選手の成長を静かに支えていきます。
素直さと謙虚さを育てるための静かな習慣
素直さと謙虚さは、日々の小さな選択や、ふとした瞬間の心の向け方の中で、形づくられていきます。
■ 1. 「知らない」を認めることから始める
知らないことを恥じる必要はありません。 むしろ「まだ伸びられる余白がある」と受け取ることで、 心が柔らかくなり、学びの入り口が自然と開いていきます。
他者の背景に目を向ける
チームメイトの努力、コーチの意図、相手選手の強み。 それぞれに固有の物語があります。 その存在を丁寧に扱う姿勢が、謙虚さを深めていきます。
結果よりも流れを見る
成功の裏には、努力や偶然、誰かの支えが必ずあります。 その流れを静かに振り返ることで、 自分だけの力ではない部分に気づけるようになります。
感謝を言葉にする
「ありがとう」と口にするたびに、 心の基準が少しずつ整っていきます。 感謝は、謙虚さを育てるための小さな筋トレのようなものです。
弱さを否定しない
不安や迷い、未熟さを抱えている自分をそのまま受け入れる。 その柔らかさが、心に余白をつくり、 謙虚さの土台になっていきます。
最後に
二つの静かな力が、競技者の未来を支えていく
素直さは、変化に向かう心の動きを後押しし、 謙虚さは、その歩みを支える土台になります。
どちらか一つでは偏りが生まれるけれど、 二つが重なり合うと、選手の内側に揺れにくい軸が育っていきます。
素直さがあることで前に進むきっかけが生まれ、 謙虚さがあることで、その歩みを続けられる。
派手さはないけれど、 この二つの力は、長い競技人生の中で確かに効いていくものです。
技術や結果よりも前に、 心の姿勢が整っていること。 その積み重ねが、選手の未来を静かに形づくっていきます。
素直さと謙虚さ。
この二つの静かな力は、競技者が長く深く成長していくうえで、 確かな支えとして働き続けます。
そして、上手くいっているときこそ、この素直さと謙虚さを大切に、そっと見直してみてほしい。 その小さな姿勢の違いが、これからの歩みに深さを与えてくれる。
最後までお読み頂きありがとうございました。
コラム著者