イメージは脳のエネルギー配分を変える――頭の中の使い方がパフォーマンスを左右する

以前「成功は頭の中から始まる」というコラムを書きましたが、そのコラムでは、イメージがパフォーマンスに影響を与える理由について触れました。 ただ、イメージの力は想像すると良いことが起きるという単純な話ではありません。
イメージは、脳にとって現実とほぼ同じ刺激として扱われます。 つまり、頭の中で何を描くかによって、脳がどの回路を使い、どこにエネルギーを配分するかが変わる。
これは、競技者にとっても非常に重要なポイントです。
- 集中が続くか
- 判断が速いか
- 身体がスムーズに動くか
- 緊張に飲まれないか
これらは、脳がどのようにエネルギーを使っているかで決まります。
そして、その使い方を決めているのが、あなたの イメージ です。
イメージは、脳の働き方を変える指令。 ただの想像ではなく、パフォーマンスの土台をつくる脳の操作そのものです。
脳は重要だと思ったものにエネルギーを回す
脳は、常に膨大な情報を処理しています。 視覚、聴覚、身体感覚、思考、記憶、感情。 すべてに全力を注ぐと、すぐに疲れてしまう。
だから脳は、常に優先順位を決めています。
- 何に集中するか
- 何を無視するか
- どの回路を強く働かせるか
この優先順位を決めるのが、イメージです。
例えば
「ミスしたらどうしよう」と失敗しているイメージをすれば、脳は危険を優先し、 「こう決める」とうまくいっているイメージをすれば、脳は成功のための回路を優先する。
脳は、あなたが重要だと思っているものにエネルギーを回す。 その重要性を決めているのが、あなたのイメージになります。
良いイメージと悪いイメージで脳の使う場所が変わる
覚える必要はないですが、ここが面白いポイントです。
成功のイメージを描くと
- 運動皮質(動きの指令)
- 前頭前野(判断・集中)
- 小脳(動きの精度)
- 視覚野(空間認知)
これらが活性化します。
つまり、 動きがスムーズになり、判断が速くなり、集中が続く状態がつくられる。
一方で、
失敗のイメージを描くと…
これらが過剰に働きます。
結果として、
身体は少しずつ固まり、判断はワンテンポ遅れ、気づけば集中も途切れやすくなる。そんな小さな変化が積み重なって、気づかないうちにパフォーマンスが落ちていく。
実はこれ、ただの気分やコンディションの問題ではなく、頭の中でどんなイメージを描いているかによって、脳がどこにエネルギーを使うかを変えてしまうから起こる現象なんです。イメージの違いが脳の使う場所を変え、そのまま動きの質にまで影響していく。これは感覚的な話ではなく、科学的にも裏付けられている事実なんですよね。
イメージは無意識の回路にエネルギーを流す
試合中の動きのほとんどは、意識ではなく無意識で行われます。
- 反応
- タイミング
- 身体の微調整
- 空間認知
- 相手の動きの予測
これらは、意識で考えている暇はありません。
イメージは、この無意識の回路に 事前にエネルギーを流すウォームアップの役割を持っています。
だから、
- 反応が速くなる
- 判断がブレなくなる
- 身体が自然に動く
- 迷いが消える
といった変化が起きる。
イメージは、 無意識の回路を先に動かしておく準備。
ネガティブなイメージは脳を消耗させる
脳はもともとネガティブな情報に強く反応するようにつくられていて、これは昔からの生存本能の名残と言えます。
だから、ミスするイメージや不安、過去の失敗、周りの視線、結果への恐れなど、そういったものを頭の中で思い浮かべるだけで、脳は「これは危険だ」と判断してしまう。
すると扁桃体が必要以上に働き出して、脳のエネルギーを一気に消費してしまうんです。その影響はすぐに表に出てきて、集中が続かなくなったり、妙に疲れやすくなったり、身体が重く感じたり、判断が遅れたり、呼吸が浅くなったりする。気づけばパフォーマンスが落ちているのに、原因がイメージだとはなかなか気づけない。
ただ実際は、ネガティブなイメージが脳のエネルギーをどんどん浪費してしまっている可能性があるんです。試合中に急に疲れたり、集中が切れたりするあの感覚の正体の一つとも言えます。
良いイメージは脳のエネルギー効率を上げる
一方で、鮮明でポジティブなイメージを描いている時、脳の中ではエネルギーの流れ方そのものが変わっています。必要な場所にだけエネルギーが集まり、余計なところには使わない、いわば無駄のない状態がつくられていくんです。
だからネガティブなイメージ描いた時とは逆で、集中が続きやすくなり、呼吸が自然と整い、身体の動きが軽く感じられたり、判断が速くなったり、視野が広がったり、力みがスッと消えていく。
これは気分の問題ではなく、脳が「今はここに力を使えばいい」と正しく判断してくれているから起きる現象なんです。
逆に言えば、脳が混乱しているとエネルギーがあちこちに散ってしまい、必要な場面で必要な力が出せなくなる。良いイメージはその散らばったエネルギーを一つにまとめて、パフォーマンスに直結する回路へと流し込んでくれる。
だからこそ、技術や体力だけでは届かない領域に踏み込めるし、同じ自分なのに別人みたいに動ける瞬間が生まれるんです。イメージが脳のエネルギー効率を最大化するというのは、まさにこういう仕組みなっているんです。
実践:脳のエネルギー配分を整えるイメージ法
ここからは、競技者がすぐに使える実践法を紹介します。
1分間の成功の瞬間イメージ
- 最高のプレーをした瞬間
- 自分らしい動きが出た瞬間
- 体が軽く、視野が広がっている瞬間
これを1分間だけ鮮明に描く。
ポイントは、 映像だけでなく身体感覚もセットで思い出すこと。
呼吸とイメージを合わせる
- 吸うときに「集中」
- 吐くときに「力みが抜ける」
このイメージを呼吸と合わせるだけで、 脳のエネルギー配分が整い、動きが軽くなる。
試合前の未来の記憶づくり
試合前に、
- どんな動きをしたいか
- どんな表情でいたいか
- どんな心の状態でいたいか
を未来の記憶として描く。
脳は、未来のイメージを過去の経験として扱うため、 本番で落ち着きやすくなる。
ネガティブイメージの上書き
不安やミスのイメージが浮かんだら、 その場で成功のイメージに上書きする。
脳は、最後に描いたイメージを優先するため、 これだけでエネルギー配分が変わる。
成功は脳の使い方から始まる
イメージは、ただの想像ではありません。 脳にとっては指令であり、 どの回路を使い、どこにエネルギーを配分するかを決めるスイッチです。
イメージが変われば、脳が変わる
脳が変われば、動きが変わる
動きが変われば、結果が変わる
成功は、頭の中から始まる。 未来のパフォーマンスは、あなたが今日どんなイメージを描くかで決まります。
競技者としての成長、 自分の限界を超える瞬間、 どちらも脳の使い方が重要になってくる。
あなたのイメージが、未来のあなたをつくる。 その力を、ぜひ味方につけてほしい。
最後までお読み頂きありがとうございました。
コラム著者