完璧主義は悪じゃない──行動する人のための本質ガイド

「完璧主義」と聞くと、どこかネガティブな響きを感じる人は少なくない。完璧を求めるあまり、何も始められない。細部にこだわりすぎて、いつまでも完成しない。そんなイメージが先行して、「完璧主義=悪いこと」と捉えられることが多い。
でも、本当にそうでしょうか?
完璧を求めること自体は、決して悪ではない。むしろ、突出した成果を出す人ほど、誰よりも高い基準を持ち、それを誰よりも貫き通している。完璧主義が悪く見えるのは、それが「行動を止める言い訳」として使われてしまうときだ。
本物の完璧主義者は動いている
本物の完璧主義者は、他人が気にしないような細部にまでこだわる。けれど、そのこだわりはただの理論や理想だけじゃなく、実際に体を動かして試している。彼らは毎日、毎時間、手を身体を動かし、改善を繰り返している。完璧に近づくために、実際に動き続けている。
例えば
- フォームの角度を0.1度単位で調整する
- トレーニングメニューの細かな調整を繰り返す
- 試合映像を分析し、動きの癖を修正する
「完璧を目指すからこそ、動く」そして、動きながら完璧に近づいていく。
偽の完璧主義──それは“やらない言い訳”
一方で、完璧主義が悪い意味で使われるとき、それは「何も始めていない」状態。理想ばかりを語り、実際には手も身体も動かしていない。完璧を求めるというより、「完璧じゃないからやらない」という言い訳になっている。
例えば
これらの言葉の裏には、行動への恐れや失敗への不安が潜んでいる。完璧主義という言葉を盾にして、挑戦から逃げてしまっている。
少しでも完璧に近づけることの、何が悪いのか?
完璧を求めることは、悪ではない。むしろ、こだわることは美徳だ。問題なのは、それを理由に行動を止めてしまうこと。
- 完璧を目指す
- でも、今の自分でまず動く
- 動きながら改善する
このサイクルこそが、本物の完璧主義だ。
完璧に近づくためには、まず動くこと。行動のハードルを下げながら、少しずつ理想に近づいていく。これができる人は、結果として高い成果を出す。
完璧主義と行動力は、両立できる
「完璧主義だから動けない」というのは誤解だ。むしろ、完璧を目指すからこそ、行動する必要がある。
- 完璧を目指す → 改善点が見える
- 改善点が見える → 実験と修正が必要
- 実験と修正 → 行動が不可欠
つまり、完璧主義は本来、行動とセットであるべき。
完璧主義を“味方”にする方法
では、どうすれば完璧主義を自分の味方にできるのか
1. 行動のハードルを下げる
「完璧にやらなきゃ」と思うと、最初の一歩が重くなります。だからこそ、まずは“できること”から始めることが大切です。
- 1分だけやってみる
- イメージからでも形にする
- 誰にも見せなくていいから試す
例えば、「できなかったからもうやらない」と諦めるのではなく、小さな一歩を積み重ねることが重要です。
2. 改善を前提にする
最初から完璧を目指すのではなく、「改善していく前提」で動く。そうすれば、未完成でもスタートできます。
- 挑戦の量を増やすことで、経験値が積み上がる
- 失敗を恐れず、次に活かす意識をもつ
改善を前提にすれば、動きながら成長できる環境を自分で作り出せます。
3. 小さな完璧を積み重ねる
細部へのこだわりを、一つひとつの動作やプレーの中で具体的に積み重ねていくことが大切です。
- シュートフォームの角度を微細に調整する
- パスのタイミングを何度も試して最適な瞬間を見極める
- スタートダッシュの踏み込みの力加減を細かく調整する
こうした細かな動きの積み重ねが、全体のパフォーマンスを大きく向上させます。 それぞれの動作に完璧を目指すことで、競技全体の質が磨かれていくのです。
4. 習慣にする
一度の努力ではなく、日々の習慣として取り入れることで、完璧主義を味方にできます。
- 毎日のウォームアップでフォームを意識する
- 練習後に必ず動画を見返して改善点をメモする
- 試合前のルーティンを徹底して心身の準備を整える
これらの習慣が、細かな動きの質を高め、パフォーマンス全体の向上につながります。日々の積み重ねこそが、完璧主義を味方にする鍵となるのです。
5. 得られたことを見つけ出す
完璧を目指す過程では、結果だけでなく「そこから何を得られたか」を振り返ることが大切です。行動や挑戦の中で得られた気づきや成長を見つけることで、次の一歩につながります。
- 練習で得られた小さな改善点を振り返る
- 試合で感じた課題や成功体験を記録する
- 日常の習慣から得られた自信や安心感を意識する
こうして「得られたこと」を見つけ出す習慣を持つことで、完璧を求める姿勢が単なる理想追求ではなく、行動を続けるためのエネルギーに変わります。結果に振り回されるのではなく、過程から学びを抽出することで「次も動こう」という意欲が生まれるのです。
つまり、得られたことを見つけることは、行動を止めないための仕組みそのもの。完璧主義を味方にするためには、この振り返りが欠かせません。
最後に──完璧を目指すことは、誇りである
完璧を求めることは、誇りと言えます。
自分の仕事や表現に対して妥協しない姿勢であり、それは誰かに認められるためではなく、自分自身との約束であり、競技者としての魂の証とも言えるでしょう。
突出した結果を残したいのであれば、完璧を求め続け、こだわり続けるしかありません。
細部にまで目を光らせ、日々の練習や試合の一瞬一瞬に全力を注ぐ。
その積み重ねが、他者を圧倒するパフォーマンスを生み出すことにつながります。
ただし、その誇りを「やらない理由」にしてしまうのは本末転倒です。
完璧を目指すなら、まずは動いてみることが大切です。挑戦を続けながら、動きつつ磨き続けることが何よりも重要になります。
完璧主義は決して悪ではありません。むしろ、行動と改善を止めない限り、それは最強の武器となり得ます。
完璧を目指していい。こだわっていい。
だが、止まってはいけません。動き続けること。
それこそが、本物の完璧主義者の姿であり、競技者の誇りです。
だからこそ、本当に突出した結果を残したいのなら、完璧を求め続け、こだわり続けることは欠かせない。
最後までお読み頂きありがとうございました。
コラム著者