スポーツメンタルコーチ上杉亮平
試合で力を発揮できないあなたへ、心の土台を整える伴走者
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習慣の罠に陥るな──最適化の落とし穴を超えて成果を掴む

 

習慣は武器か、それとも罠か

競技者にとって「習慣」は強力な武器です。毎日のルーティン、練習の積み重ね、試合前の準備。これらは集中力を高め、心身を整え、パフォーマンスを安定させるために欠かせないものです。 しかし同時に、習慣は「罠」にもなり得ます。決めたルーティンを守ることが目的化し、柔軟性を失い、習慣が崩れた瞬間に「今日はダメだ」と思い込んでしまう。これこそが「最適化信者」の落とし穴です。

 

 

習慣の罠・怖さ・間違い・落とし穴

1. 習慣が崩れると動けなくなる罠

「今日はあのルーティンをやっていないからダメだ」と思い込むと、自己暗示によって本来の力を発揮できなくなります。習慣は本来、集中力を高めるための支えであり、呪縛ではありません。 競技者にとって大切なのは「習慣が崩れても動ける自分」を作ることです。例えば試合前のルーティンを忘れてしまったとしても、深呼吸や短いイメージトレーニングで心を整えることは可能です。習慣に依存しすぎると、逆に習慣がない状況で力を発揮できなくなる危険があります。

 

2. 習慣を続けることが目的化する怖さ

習慣は成果を高めるための手段であるはずなのに、「やること自体」が目的になってしまうと、競技力は伸びません。 例えば「毎日必ず同じ時間に同じ練習をする」ことが目的化すると、練習の質や集中力が置き去りにされます。習慣を守ることに満足してしまい、「本当に成果につながっているか?」という問いを忘れてしまうのです。習慣はあくまで目的に向かうための道具であり、目的そのものではないことを常に意識する必要があります。

 

3. 間違った最適化

「もっと効率的に」「もっと無駄なく」と考えすぎると、創造性や偶然の発見を排除してしまいます。競技は生き物であり、常に変化します。最適化は固定化ではなく、流動的であるべきです。 例えば、練習メニューを徹底的に効率化しすぎると、予期せぬ課題や新しい発見に出会う機会を失います。競技者に必要なのは「最適化された習慣」ではなく「変化に対応できる習慣」です。効率化は強力な武器ですが、それに囚われると成長の幅を狭めてしまうのです。

 

4. 落とし穴──柔軟性を失うこと

習慣を守ることに固執すると、環境の変化や試合の状況に対応できなくなります。競技者に必要なのは「習慣を守る力」ではなく「習慣を変える勇気」です。 試合当日、予期せぬトラブルでルーティンが崩れることは珍しくありません。そんなときに「習慣ができなかったから今日はダメだ」と思うのではなく、「違う形で集中できる」と切り替えられる柔軟性こそが本当の強さです。習慣は自分を縛るものではなく、状況に応じて形を変えられるものだと理解することが重要です。

 

習慣を“味方”にするための思考法

1. 「なんのために?」を問い続ける

習慣を続けることが目的ではなく、成果を最大化するための手段であることを忘れてはいけません。定期的に「この習慣は何のためにあるのか?」と問い直すことが大切です。

 

例えば「毎朝のランニング」は、ただ走ることが目的ではなく「心身を整え、集中力を高める」ためのものです。

目的を問い直すことで、習慣が形骸化するのを防ぎ、常に意味のある行動に変わります。

 

2. 習慣を変える勇気を持つ

一度決めた習慣を変えてはいけないわけではありません。むしろ、成長に合わせて習慣をアップデートすることが必要です。

 

例えば以前は「夜に試合映像を見返す」ことが効果的だったとしても、今は「朝に短時間だけ見返す」方が集中力を高められるかもしれません。習慣は固定されたものではなく、成長に合わせて変化させるものです。変える勇気を持つことで、習慣は常に自分にとって最適な形に進化します。

 

3. 習慣は集中力を高めるための仕組み

習慣の本質は「その日の集中力を高めること」です。習慣が崩れても、集中力を取り戻す方法は他にもあります。習慣に依存せず、目的に立ち返ることが重要です。

 

例えば「試合前のルーティンを忘れた」としても、深呼吸や短い瞑想で集中を取り戻すことは可能です。習慣は集中力を支える仕組みであり、崩れても代替手段を持っていればパフォーマンスを維持できます。

 

4. 柔軟な思考を手に入れる

習慣が崩れたときに「今日はダメだ」と思うのではなく、「今日は違う形で集中できる」と考える。これが柔軟な思考です。 競技者にとって柔軟性は、習慣以上に大切な力です。習慣が崩れても「別の方法で集中できる」「違う形で成果を出せる」と考えられる人は、どんな状況でもパフォーマンスを発揮できます。柔軟な思考を持つことで、習慣は自分を縛るものではなく、支えるものへと変わります。

 

競技者に伝えたい実践ステップ

 

  1. 習慣をリスト化する 

「何のためにやっているのか」を書き出す。目的が見えない習慣は見直す。

 

  1. 習慣が崩れたときの代替行動を決めておく 
例えば「試合前のルーティンを忘れたら、深呼吸を3回する」など。

 

  1. 習慣をアップデートするタイミングを設ける
月に一度、習慣を振り返り「今の自分に合っているか」を確認する。

 

  1. 習慣を誇りにしない
習慣を続けていること自体に価値を置かない。成果に繋がっているかどうかで判断する。

 

  1. 柔軟性を競技力の一部とする
習慣が崩れても動ける自分を作る。それが本当の強さ。

 

結論──習慣は成果を最大化するための“道具”である

習慣は確かに大切です。毎日の積み重ねが、あなたを支え、集中力を高め、競技者としての基盤を作ります。けれど、忘れてはいけないのは、習慣を守ること自体が目的になった瞬間、それは罠に変わるということです。

 

「今日も習慣をこなせたから満足だ」──それは危険な自己暗示です。

習慣は誇りではなく、道具です。目的は習慣を続けることではなく、成果を伸ばすこと。習慣をこなすことに安心してしまえば、成長は止まります。

 

競技者に本当に必要なのは「習慣を続ける力」ではなく、習慣を変える勇気です。昨日までの自分に合っていた習慣が、今日の自分にはもう最適ではないかもしれない。成長に合わせて習慣をアップデートする、その柔軟さこそが突出した結果を生み出す原動力になります。

 

そして、最も伝えたいのは──習慣が崩れたときに動けなくなるなということです。ルーティンが乱れた瞬間に「今日はダメだ」と思い込むのは、習慣に支配されている証拠です。習慣はあなたを縛るものではなく、支えるもの。崩れてもなお動ける自分を作ることが、真の競技者の強さです。

 

習慣は成果を最大化するための仕組みであり、その日の集中力を高めるための道具です。だからこそ、習慣に依存するのではなく、習慣を使いこなす。習慣が崩れても「別の形で集中できる」と切り替えられる柔軟な思考を持ち、最適化信者にならず、本質を見失わないこと。

 

習慣を続けることは大事だ。だが、習慣をこなすことが目的になってはいけない。習慣を変える勇気を持ち、崩れてもなお動ける自分を育てる。

 

それこそが、競技者として突出した結果を残すための、本当の習慣の使い方だ。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

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