スポーツメンタルコーチ上杉亮平
試合で力を発揮できないあなたへ、心の土台を整える伴走者
~アスリートを自己実現へと導く~
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上手くいっていないと感じるあなたへ──結果を問い直す整理術

 

その「上手くいっていない」は本当か?

「努力しているのに結果が出ない」 「どうして自分だけがこんな目に遭うのだろう」

そう感じる瞬間は誰にでもあります。しかし、その“上手くいっていない”という感覚は、必ずしも事実ではありません。結果は外的要因に左右され、努力や成長がそのまま反映されるとは限らないからです。

だからこそ必要なのは、「本当に上手くいっていないのか?」と問い直す力です。

 

結果と成長は一致しない

  • 結果は一瞬のラベル。勝敗や数字は外的要因に左右される。

 

  • 成長は持続する。挑戦する姿勢、失敗から学ぶ力、不安を受け入れる勇気は積み重なる。

 

  • 「結果が出ない=成長していない」という誤解から解放されることが、心を整える第一歩。
 
 

寓話が教える「裏の意味」

──ここで少し視点を変えられる寓話の紹介

 

ここで紹介するのは 『タルムード』 に収められた寓話です。

 

タルムードとは?

ユダヤ教の聖典である旧約聖書をもとに、約1500年以上にわたり議論・解釈・教訓を積み重ねて編纂された書物で、ユダヤ人の生活や倫理観を支えてきた知恵の集大成です。そこには、人生の理不尽や逆境をどう捉えるかを示す寓話が数多く収められています。

 

その中の一つが「青年アダムスの疑問」

青年アダムスは旅の途中で預言者エリヤに出会い、同行を許されます。ただし条件は「何が起きても理由を尋ねてはならない」というもの。

 

旅の中で、親切な夫婦の乳牛が突然死んだり、冷たくあしらった金持ちの家にエリヤが親切にしたり、理不尽に見える出来事が次々と起こります。耐えきれなくなったアダムスが理由を問うと、エリヤは真実を明かしました。

 

  • 乳牛の死は、本来は妻が亡くなるはずだったのを神が牛に置き換えた。

 

  • 金持ちの家の倒木を直したのは、木の根元に埋まっていた金貨を見つけさせないため。

 

つまり、表面だけ見れば理不尽に見える出来事も、裏には必ず意味があるということです。

※物語の全貌が気になる方は是非調べてみてください。

 

競技者にとっても同じです。負け試合や怪我は「ただの不幸」ではなく、未来への問いかけ。

 

  1. 敗北は挑戦の証であり、次の成長のための材料。

 

  1. 怪我は人の痛みを理解する契機となり、仲間や後輩に寄り添う力を育てる。

 

  1. 遠回りは視野を広げる旅となり、柔軟な発想を生む。

 

この寓話は、結果に振り回されるのではなく「出来事の裏にある意味を問い直す」姿勢を私たちに示しています。

 

この視点を頭に入れた上で、次に進みましょう。ここからは、逆境をどう意味づけるかという具体的な力について考えていきます。
 

逆境を意味づける力

心理学では「認知的リフレーミング」と呼ばれる力があります。 これは、出来事を別の角度から捉え直し、痛みや不幸を未来の材料へと変える技術です。

 

失敗は「挑戦した証」

 

不幸は「人の痛みを理解する契機」

 

遠回りは「視野を広げる旅」

 

例えば、試合で大差をつけられて負けた選手が「自分は弱い」とだけ捉えるのか、「相手の強さを学ぶ機会」と捉えるのかで、その後の成長曲線は大きく変わります。 同じ出来事でも、意味づけ次第で未来はまったく違う形に開かれるのです。

 

頭を整理する技術

 

紙に書き出す

「上手くいっていない」と感じる時、頭の中は不安や疑問で渋滞しています。 そこで必要なのが、頭を整理する時間です。

 

書き出しのステップ
  1. 今感じていること:「なぜ上手くいっていないと感じるのか?」

 

  1. 問題点:「その原因は何か?」

 

  1. できること:「それをクリアにするために何ができるか?」

 

ポイントは「考える」ではなく、紙に書き出すこと

 

科学的根拠
  1. 書き出すことで脳のワーキングメモリが解放され、思考の渋滞が減る。

 

  1. 書く行為は「外在化」と呼ばれ、感情や課題を客観視できる。

 

  1. 心理学研究では、ジャーナリング(書き出し)がストレスを軽減し、自己理解を深める効果が確認されています。
 
 

ボーっとする余白が生む閃き

「何もしない時間」は怠けではなく、脳にとって必要な余白です。

 

デフォルト・モード・ネットワークの活性化:

集中していないとき、脳は情報を自由に結びつけ、閃きが生まれる。

 

ストレスの軽減:

交感神経が落ち着き、心身の緊張が緩む。

 

創造性の向上:

新しい戦術や技術のアイデアが浮かびやすくなる。

 

ボーっとする時間は「閃き」と「回復」を同時に与えてくれる。
 

最後のメッセージ

上手くいっていないと思う時こそ

 

今、うまくいっていないと感じているあなたへ。 その感覚は本当に正しいのでしょうか。

結果が出ないことに心を揺さぶられるのは自然なことです。しかし、そこで立ち止まるのではなく、「この出来事は何を教えているのか?」と問い直してください。

頭を整理し、紙に書き出し、余白を持つことで、出来事の意味は変わります。 「上手くいっていない」と思う瞬間こそ、未来への材料が眠っているのです。

 

失敗は挑戦の証

 

不安は準備を促す力

 

迷いは選択を深める契機

 

揺らぎを抱えた心は、人間らしい柔らかさと強さを併せ持っています。

だからこそ、結果に左右されず、過程に意味を見出すことが挑戦者の本当の強さです。あなたが今感じている不安や挫折は、次のステージへ進むための“合図”かもしれません。

その合図に、どうか耳を澄ませてください。 「上手くいっていない」と思える出来事の中には、未来へのヒントが静かに潜んでいます。

 

そのヒントは、

 

あなたが紙に書き出した言葉の中に、

 

ふとした余白の時間に浮かんだ閃きの中に、

 

そして自分自身に投げかけた問いの中に姿を現します。

 

挑戦を続ける者に必要なのは、完璧な結果ではありません。 必要なのは、結果を問い直す勇気です。

あなたの歩みは、たとえ今は遠回りに見えても、確実に未来へとつながっています。 その一歩一歩が、やがて揺るぎない根を育て、幹を太くし、挑戦者としての景色を変えていくのです。

結果は揺らぎ、成長は積み重なる。 過程に意味を見出し、問い直す勇気を持ち続けてください。 その一歩を踏み出す勇気が、未来を動かす力になります。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

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