スポーツメンタルコーチ上杉亮平
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満足は成長を止めるのか?──安住と感謝の違い

 

満足にも種類がある

競技者にとって「満足」という言葉は、複雑な響きを持っています。 勝利に満足することは達成感をもたらす一方で、「そこで止まってしまうのではないか」という恐れもある。逆に、敗北の中で満足を見出すことは「甘え」だと批判されることもある。

しかし、ここで重要なのは「満足にも種類がある」ということです。

 

安住する満足:過去の成功にしがみつき、挑戦を止めてしまう満足。

 

感謝する満足:成果を肯定しつつ、次の挑戦へとつなげる満足。

 

つまり、満足そのものが悪いのではなく、その「質」が未来を決めるのです。

 

安住する満足──勝利に酔う危うさ

試合に勝った直後、選手は大きな達成感を覚えます。 しかし「もう十分だ」と思い、練習を怠れば、それは安住の満足です。

 

  1. 勝利に酔い、次の試合への準備を怠る。

 

  1. 過去の成功体験にしがみつき、変化を拒む。

 

  1. 「これでいい」と思った瞬間、成長は止まる。

 

競技の世界では、安住は最大の敵です。ライバルは常に進化し続けている。安住した選手は、知らぬ間に追い抜かれてしまいます。

 

感謝する満足──挑戦を持続させる燃料

一方で、勝利を「感謝」として受け止める選手は違います。

 

  1. 仲間やコーチの支えに感謝する。

 

  1. 自分の努力を認め、「よくやった」と肯定する。

 

  1. その上で「次はどう挑むか」と問い続ける。

 

この感謝の満足は、挑戦を止めるどころか、挑戦を持続させる燃料になります。心が安定し、次の試合に集中できる。

感謝は心を柔らかくし、視野を広げます。感謝を持つ選手は、敗北の中でも「次に活かせる学び」を見出し、挑戦を続けることができる。

 

満足の種類を映す新しい場面描写

 

1. 記録更新の場面

安住する選手は「自己ベストを更新できたからもう十分」と思い、挑戦を止める。 感謝する選手は「更新できたことに感謝」しつつ、「次はどんな壁を越えられるか」と前を向く。

 

2. ケガからの復帰の場面

安住する選手は「ここまで戻れたからもういい」と思い、リハビリを軽視する。 感謝する選手は「ここまで戻れたことに感謝」しつつ、「さらに競技力を取り戻そう」と努力を続ける。

 

3. 仲間との関わりの場面

安住する選手は「仲間に支えてもらったからもう安心」と思い、依存してしまう。 感謝する選手は「仲間に支えてもらったことに感謝」しつつ、「自分も仲間を支える存在になろう」と行動を変える。

 

これらの場面は、満足の「質」が選手の未来をどう変えるかを鮮明に映し出しています。

 

問いを持ち続ける力

満足を「ゴール」ではなく「通過点」と捉えることが大切です。 問い続ける姿勢がある選手は、満足を挑戦の燃料に変えることができます。

 

  1. 「この勝利は何を教えてくれているのか?」

 

  1. 「この練習を次にどう活かせるのか?」

 

  1. 「この感謝を未来の挑戦にどうつなげるのか?」

 

問いを持つことは、心を常に動かし続けることです。問いがある限り、満足は停滞ではなく前進のきっかけになる。

問い続ける選手は、勝利を「終わり」ではなく「始まり」として捉えます。練習を「義務」ではなく「可能性」として見ます。感謝を「過去」ではなく「未来」へとつなげます。

問いがある限り、満足は挑戦を止めるものではなく、挑戦を持続させる燃料になるのです。

 

満足と挑戦のバランス

競技者にとって「満足」と「挑戦」は、相反するようでいて実は補い合う存在です。 満足は心を休めるために必要ですが、それだけでは停滞を招きます。挑戦は成長を促しますが、休息なしでは心身をすり減らしてしまう。両者のバランスをどう取るかが、競技者の未来を決めるのです。

 

満足は「休息」としての役割を持つ

試合後に「やり切った」と感じる満足は、心を整え、次の挑戦への準備期間を与えてくれる。 練習後に「今日も積み重ねられた」と思える満足は、自己肯定感を育み、挑戦を続ける力を養う。

 

挑戦は「未来を開く力」を持つ

新しい技術に挑むことは失敗を伴うが、成長の扉を開く。 強敵に挑むことは恐怖を伴うが、自信を育てる。

バランスを失ったときに起こること

 

  1. 満足だけに偏ると:心は安定するが挑戦意欲が失われ、技術も停滞する。

 

  1. 挑戦だけに偏ると:心は疲弊し、焦燥感に押し潰され、継続力を失う。

 

満足と挑戦のリズムを作る

勝利の後は「感謝の満足」を持ち、次の挑戦へ。 敗北の後は「学びの満足」を持ち、挑戦を続ける。 日々の練習では小さな満足を積み重ね、挑戦の意欲を維持する。

このリズムがある選手は、心を整えながら挑戦を続けられる。逆にリズムを失った選手は、満足に溺れるか挑戦に疲弊するかのどちらかに陥ってしまう。

 

最後のメッセージ:満足の質が未来を決める

満足は競技者にとって避けられない感情です。勝利の後にも、敗北の後にも、練習の積み重ねの中にも、必ず訪れる。 大切なのは「満足そのもの」ではなく、その 質 です。

 

安住する満足は、過去に縛られた安心感。心を落ち着ける一方で、挑戦を止め、成長を閉ざす。

 

感謝する満足は、未来へ進むための力。心を整えながら挑戦を続ける燃料となる。

 

試合後に「やり切った」と感じる瞬間は、心を落ち着け、次の挑戦への準備を整えるために欠かせない。練習後に「今日も積み重ねられた」と思えることは、自己肯定感を育み、挑戦を続ける力を養う。 しかし、その満足が安住に変われば、過去の成功にしがみつき、変化を拒むことで未来を閉ざしてしまう。逆に感謝の満足であれば、仲間やコーチへの感謝、自分自身への感謝が次の挑戦へとつながる力になる。

 

満足の質が未来を決める。

それは単なる言葉ではなく、競技者の人生を左右する現実です。

だからこそ競技者は、

勝利の後に「感謝の満足」を持ち、敗北の後に「学びの満足」を持ち、日々の練習で「積み重ねの満足」を持つべきです。

 

満足を恐れる必要はない。

むしろ、満足をどう扱うかが競技者の心を整え、挑戦を続ける力を育む。

安住ではなく感謝に。停滞ではなく挑戦に。 その選択が、あなたの競技人生を大きく変える。

未来を切り拓くのは、あなたが選ぶ「満足の質」なのです。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

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