スポーツメンタルコーチ上杉亮平
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「一か八か」は武器か逃げか──競技者が“攻める”ときに必要な心の土台とは

 

私がとらないリスク──信頼関係を守るという選択

私がスポーツメンタルコーチとして活動する中で、ずっと大切にしている言葉がある。

「選手との信頼関係が1%でも崩れる可能性のあるリスクはとらない」

これは、私が尊敬するスポーツメンタルコーチが語った一言。 この言葉に、私は心を打たれた。 それ以来、私自身もこの姿勢を徹底している。

どんなに結果が欲しくても、どんなに状況が厳しくても、 信頼を犠牲にするような関わり方はしない。

それは、選手の“心の土台”を守るため。 そして、選手自身が「納得して攻める」ための準備を整えるため。

この言葉を思い出すたびに、私は「リスクを取る」ということの意味を考える。 そして、ふと疑問が浮かぶ。

 

競技者にとって、“一か八か”は必要なのか?
 

「一か八か」は武器か逃げか

競技の世界では、「一か八か」という言葉がよく使われる。 勝負の流れが停滞しているとき。 相手が格上で、守っていてもジリ貧になるとき。 自分の限界を超えたいとき。 そんな場面で、思い切った選択が突破口になることは確かにある。

でも私は、こうも思う。 「一か八か」は、武器にもなるけれど、逃げにもなる。

 

「一か八か」が“逃げ”になるとき

競技者が「一か八か」に頼るとき、そこに自分との対話があるかどうかが重要だ。 勢いで選んだ一手が、実は準備不足のごまかしだったり、 自信のなさを「賭け」にすり替えていたりすることは、決して少なくない。

 

  1. 練習で積み上げたものを信じきれず、直前で大きく変えてしまう

 

  1. 結果が出ない焦りから、無理な選択をしてしまう

 

  1. 周囲の期待に応えようと、納得できていないまま攻めに出る

 

こうした「一か八か」は、自分の本音を置き去りにした衝動だ。 それは、競技者としての成長を止めてしまう可能性がある。

 

「納得して攻める」ことの意味

外から見れば「一か八か」に見える選択でも、 自分の中で腹が決まっているなら、それは“戦略”になる。

納得して攻めるとは、

 

  1. 自分の準備を信じていること

 

  1. その選択に責任を持てること

 

  1. 結果がどうであれ、自分の中で意味を見出せること

 

それは、単なる勝負勘ではなく、日々の積み重ねから生まれる“在り方”だ。

 

攻めることと“過去の失敗”の影響

納得して攻める──その言葉の裏には、 過去に攻めて失敗した記憶が、静かに影を落としていることがある。

 

「前も攻めた。でもうまくいかなかった」

 

「また同じことになるんじゃないか」

 

「もう怖くて踏み出せない」

 

そんな声が、心の奥でささやいている。 それは、競技者として真剣に向き合ってきた証でもある。

でも、私はこう考える。 その記憶をどう再定義するかが、次の一手の質を決める。

失敗を「学び」として処理することは、もちろん大切だ。 でもそれだけでは、どこか他人事のように感じてしまうこともある。

だからこそ、 「失敗=自分の一部」として受け入れること。

それは、痛みを否定せず、 その経験を“自分の言葉”で語れるようになるということ。

 

  1. あのとき、なぜ攻めたのか

 

  1. 何を信じていたのか

 

  1. 何が足りなかったのか

 

  1. それでも、何が残ったのか

 

こうして失敗を“自分の物語”に変えていくことで、 次に攻めるとき、過去の自分が味方になってくれる。

失敗は、競技者の中に静かに根を張る。 それを切り離すのではなく、抱えて進むことが、成熟の証だと私は思う。

 

攻めるために必要な“心の準備”

競技者が「攻める」ためには、技術や戦術だけでなく、心の準備が必要だ。 それは、試合直前に整えるものではなく、日々の中で育てていくもの。

 

たとえば──
  1. 自分の感情を言語化する習慣

 

  1. 小さな成功体験を記録しておくこと

 

  1. 「失敗しても意味がある」と思える視点

 

  1. 誰かに頼ることを“弱さ”ではなく“戦略”と捉えること

 

こうした準備があると、攻めるときに「怖さ」よりも「納得」が勝る。 そして、結果がどうであれ、自分の選択に意味を見出せるようになる。

私が関わる選手たちにも、こうした“心の準備”を一緒に整えていく。 それは、競技力を高めるだけでなく、競技者としての自信を育てる時間でもある。

 

「一か八か」に見える選択を、どう扱うか

私は、選手が「一か八か」に踏み出す瞬間を否定しない。 むしろ、その選択にどれだけの納得があるかを一緒に確認する。

 

  1. それは本当に、自分が望んでいる選択か?

 

  1. その選択に、準備と覚悟はあるか?

 

  1. 結果がどうであれ、自分の中で意味を見出せるか?

 

この問いに向き合うことで、 「一か八か」は、衝動ではなく、自分の意志を乗せた一手になる。

 

最後に──あなたはどう思いますか?

「一か八か」は、競技者にとって必要な場面もある。 でもそれは、信頼と納得の土台があってこそ、武器になる。

攻めるとは何か。 納得して選ぶとはどういうことか。 そして、自分の選択に責任を持つとはどういう在り方なのか。

このコラムを読んだ今、 あなた自身はどう思いますか?

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

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