バーンアウトの正体|スポーツ選手が陥る燃え尽き症候群とその乗り越え方

「頑張ったのに、なぜか心が空っぽになる」
競技者として日々努力を積み重ね、目標に向かって全力で走ってきた。 それなのに、ふとした瞬間に「もう何もしたくない」「燃え尽きた」と感じることはありませんか?
それは、燃え尽き症候群(バーンアウト)と呼ばれる状態かもしれません。 この症状は、目標に届かなかった人だけでなく、目標を達成した人にも起こるということを、まず知っておいてほしいのです。
燃え尽き症候群とは?
燃え尽き症候群とは、長期間にわたるストレスや過剰な責任感によって、心身のエネルギーが枯渇し、やる気や達成感を失ってしまう状態です。 特に競技者は、結果へのプレッシャーや自己期待が高いため、バーンアウトに陥りやすい傾向があります。
なぜ燃え尽き症候群になるのか?
パターン①:目標達成できずに燃え尽きる
- 努力しても結果が出ない
- 評価されない、報われない
- 自分の価値を見失う
- 「もう頑張っても意味がない」と感じる
このような状態が続くと、心が摩耗し、無気力や自己否定に陥ってしまいます。
パターン②:目標達成して燃え尽きる
- ゴールを達成したのに、思ったほど嬉しくない
- 次の目標が見つからない
- 「もう燃えるものがない」と感じる
- 達成=終わりだと思ってしまう
競技者は、目標に向かって全力で走ることに慣れているからこそ、達成後の“空白”に耐えられず、心が抜け落ちてしまうことがあります。 卓球の五輪金メダリスト・水谷隼さんも、金メダル獲得後に「心がポッキリ折れた」と語っています。 「夢は基本的に叶わない。叶えるために努力することに意味がある」と気づいたことで、再び行動に意識を向けられたそうです。
目標と目的の違い
燃え尽きを防ぐためには、目標と目的の違いを理解することが不可欠です。
- 目標は「達成したい具体的な成果」。たとえば「全国大会で優勝する」「自己ベストを更新する」など。
- 目的は「その目標を達成する理由や背景」。たとえば「自分の限界に挑戦したい」「家族に成長した姿を見せたい」など。
目標は“手段”であり、目的は“本質”であり在り方です。 目標だけを追い続けると、達成しても満たされず、燃え尽きてしまうことがあります。 しかし、目的が明確であれば、目標が変わっても軸がブレず、心は安定します。
目的は、競技人生の「なぜやるのか」を支える土台。 目標は、その目的を形にするための「通過点」にすぎません。
燃え尽き症候群にならないために
競技者が心を守るために、日々できることがあります。
1. 自分の目的を言語化する
「なぜこの競技を続けているのか?」 「何のためにこの目標を掲げたのか?」 この問いに答えられるようになると、心の軸が整います。
2. 感情を否定せず、感じ切る
落胆、悔しさ、虚無感。どれも大切な感情です。 感じ切ることで、次の願いの精度が高まり、回復力が育ちます。
3. 自分との約束を守る
習慣を整え、日々の積み重ねを大切にすることで、自分への信頼が育ちます。 この信頼が、燃え尽きそうなときの“支え”になります。
心を動かし、前に進むための言葉たち
燃え尽きそうなとき、心に火を灯してくれるのは、誰かの言葉です。 ここでは、実際のスポーツ選手の名言を通して、行動に繋がるメッセージを届けます。
結果が出ない日も、思うように進まない日も、積み重ねた時間は裏切らない。 燃え尽きそうなときこそ、今日の一歩に意味を見出すことが、未来を変える力になる。
目標に届かなかったとき、失敗と捉えるか、学びと捉えるかで、次の行動が変わる。 燃え尽きそうなときは、「まだ終わっていない」と思い出すことが、再起のきっかけになる。
目標はゴールではなく、行動の理由。 叶えるために努力する日々こそが、競技者としての誇りであり、心の支えになる。
スポーツメンタルコーチの役割
競技者が自分の心と向き合うとき、スポーツメンタルコーチの存在は非常に大きな意味を持ちます。 私、上杉亮平は、競技者が「結果だけでなく、自分の価値を感じながら進めるように」サポートしています。
体験コーチングでは、選手が自分の感情や価値観に気づき、目標と目的を再定義する時間を提供しています。
そして何より、「行動したくなる言葉」を届けることを大切にしています。
最後に
競技者として、目標に向かって努力することは素晴らしいことです。 でも、心が置き去りになってしまうと、どんな結果も空虚に感じてしまう。
だからこそ、目的を見つめ直し、感情を整え、自分との信頼を育てることが、競技人生を豊かにする鍵になります。
そして、必要なときには、誰かの言葉に頼ってもいい。 あなたの心が、また前を向けるように。 その一歩を、私は全力でサポートします。
最後までお読み頂きありがとうございました。
コラム著者