スポーツメンタルコーチ上杉亮平
試合で力を発揮できないあなたへ、心の土台を整える伴走者
~アスリートを自己実現へと導く~
メニュー

感情は出すべきか、抑えるべきか?

一喜一憂しない力と人間らしさのバランスについて

 

「感情は表に出した方がいいのか、それとも抑えた方がいいのか?」

 

この問いは、パフォーマンスにも人間関係にも、そして自己理解にも深く関わってくる。

結論から言えば、「どちらか一方」ではなく「どちらも必要」。 ただし、それは場面や目的によって使い分ける“技術”であり、“感情を持たないこと”や“感情を押し殺すこと”とはまったく違う。

 

感情を表に出すことの力:共感・調整・自己理解

感情を表現することには、いくつかの明確なメリットがある。 まず、感情を言語化すること自体が、脳のストレス反応を鎮めるという研究がある。UCLAの実験では、怒りや不安を言葉にすることで扁桃体の活動が低下し、前頭前野の働きが活性化することが示されている。つまり、感情を出すことで、冷静さを取り戻すことができる。

私自身も、日記やコラムを書くことで、自分の感情を整理し、俯瞰する習慣を持っている。 それは単なる“発散”ではなく、“調整”であり、“対話”。

また、感情を出すことで、他者との「共感」が生まれる。 人は、感情を共有することで安心し、信頼を築く。 スポーツメンタルコーチとして、選手が「不安です」と言ってくれた瞬間に、関係性が一段深まることがある。 そのとき私は、ただ「聞く」のではなく、「感じる」ことを大切にしている。

さらに、感情を出すことは「自己理解」にもつながる。 何に反応し、何に揺れるのか——それを知ることは、自分の価値観やセルフイメージを再構築する手がかりになる。

 

感情を抑えることの力:安定・継続・冷静な判断

一方で、感情を抑えることにも大きな意味がある。 特に、競技やビジネスの場では、「一喜一憂しない」ことが安定したパフォーマンスにつながる。

スタンフォード大学の研究によれば、感情の波に左右される人ほど、意思決定の精度が下がる傾向がある。 逆に、感情を一時的に抑えることで、長期的な視点を保ちやすくなる。

「感情を感じてもいいけど、飲み込まれるな」

それは、感情を否定するのではなく、感情を感じながらも、選択できる状態を保つということ。

また、感情を抑えることは「習慣化」や「継続力」にも寄与する。

 

毎朝のルーティンや、月初めの神社参拝など、私が続けている習慣は、感情に左右されない“淡々とした力”によって支えられている。

ただし、「抑える」と「押し殺す」は違う。 感情を感じながらも、それに振り回されずに行動を選べること——それが成熟した抑制力だと考えている。

 

「淡々とやる」とは、感情を出さないことではない

「淡々とやる」という言葉は、しばしば“無感情”と誤解される。 しかし、私にとってそれは、感情を深く感じながらも、静かに行動する姿勢を意味している。

たとえば、朝のルーティンをこなすとき、私は「やらなきゃ」ではなく、「やりたいからやる」という感覚で動いている。 そこには、感謝や誇り、静かな情熱がある。 それをわざわざ表に出すことはないけれど、確かに“感情と共にある”。

スポーツメンタルコーチとしての仕事も同じ。 選手の感情に寄り添いながら、自分自身の感情も丁寧に扱う。 その上で、冷静な判断と温かい関わりを両立させることが求められる。

つまり、「淡々とやる」とは、感情を排除することではなく、感情と共に歩む技術。

 

感情は人間らしさの証——だからこそ、丁寧に扱いたい

感情は、私たちが何かを大切にしている証。 何かに心を動かされている証でもある。 だからこそ、感情を丁寧に扱うことは、自分自身との信頼関係を築くことでもある。

感情を出すことも、抑えることも、どちらも“生きる技術”。 どちらか一方に偏る必要はない。 むしろ、その場に応じて選び取る柔軟さこそが、人間らしさの本質だと思っている。

そして、感情を扱うことは、自己対話でもある。

 

  1. 「今、自分は何を感じているのか?」

 

  1. 「それをどう表現したいのか?」

 

  1. 「それをどう行動に変えていくのか?」

 

そんな問いを重ねながら、私は今日も感情と共に歩いている。

 

感情と共に、淡々と理想へ向かう

感情は、時に私たちを揺らし、時に私たちを動かす。 その揺らぎは、決して弱さではない。むしろ、何かを大切にしている証であり、心が生きている証でもある。

私たちは、感情を持つ存在として生まれた。 だからこそ、感情を否定するのではなく、受け入れながら淡々と歩むこと——それが、成熟した姿勢であり、理想に向かう日々の土台となる。

淡々と歩むとは、感情を切り離すことではない。 それは、感情に流されず、しかし感情を抱きしめながら進むこと。 静かに、しかし確かに、自分の内側にある熱を灯し続けること。

 

人間らしさとは、

揺れること。迷うこと。時に立ち止まること。 でもそのすべてを含めて、自分を信じて歩み続けることができるなら——それは、何よりも力強い選択だ。

今日もまた、感情と共に歩く。 不安も、喜びも、焦りも、感謝も。 それらを丁寧に感じながら、淡々と、しかし確かに、理想へと向かっていく。

その歩みは、誰かに見せるためのものではない。 自分自身との約束を守るためのもの。 そしてその約束を果たすたびに、私たちは少しずつ、自分の理想に近づいていく

 

感情と共にあること。

それは、静かで力強い、人間らしい選択。 そして、私がこれからも大切にしていきたい、生き方の軸です。

感情を感じることは、弱さではない。 それは、何かに心を動かされている証であり、誰かとつながろうとする意志の表れでもある。 その感情を、丁寧に扱いながら、淡々と歩む。 それが、私にとっての成熟であり、誠実さであり、人間らしさです。

日々の習慣も、仕事も、出会いも、すべては感情と共にあります。 だからこそ、私は今日も静かに決意します。 感情を否定せず、過剰に振り回されず、ただ共に歩むこと。 その歩みの先に、私の理想があると信じています。

そして、もしこの文章に触れた誰かが、 「自分も感情と共に歩いていいんだ」と感じてくれたなら—— それは、私にとって何よりの喜びです。

感情は、私たちを人間たらしめるもの。 だからこそ、私はこれからも、感情と共に、淡々と、誠実に、理想へ向かって歩いていく。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

その他のおすすめ記事

「犠牲になる前に、成長せよ」──チームに本当に貢献する人の条件とは 「チームのために犠牲になる」は本当に美徳か? ‥ 続きを読む
脳は“いつも通り”を選ぶ──無意識の凄さと怖さを体感した日 とある日の気づきから始まった ‥ 続きを読む
完璧より“今すぐ動ける”計画が継続力を作る 「成功は劇的な変化ではなく、日々の小さな選択の積み重ねで‥ 続きを読む

【完全無料】アスリート必見!
心の壁を乗り越え
ベストパフォーマンス引き出す5つの秘訣!