自信がつかないのは“自己満足”が足りないから

はじめに──「自信がほしい」と思ったとき、何を求めているのか?
選手にとって「自信」は、技術や体力と並ぶ重要な武器です。 でもその「自信」、どこから生まれるのでしょうか?
- 他人から褒められたとき?
- 結果が出たとき?
- 勝ったとき?
もちろん、それらも一時的な自信にはつながります。 でも、本当に揺るがない自信は「自己満足」からしか生まれません。
自己満足とは「自分が納得している状態」
自己満足という言葉には、どこかネガティブな響きがあるかもしれません。 でもここで言う自己満足とは、「自分が自分の行動に納得している状態」のことです。
- 今日の練習、最後までやり切った
- 苦手なメニューに挑戦した
- 自分との約束を守った
これらは、誰かに褒められなくても、自分の中で「よくやった」と思える瞬間です。 そしてその感覚こそが、脳にとって最も強力な報酬になります。
科学的根拠
──自己承認が自信を育てる理由
心理学では、自己満足に近い概念として「自己承認(Self-Approval)」や「自己肯定感(Self-Esteem)」が使われます。 これらは、自分の価値を自分で認める力のこと。
自己承認が高い人の特徴
- 自分の長所も短所も受け入れている
- 他人の評価に過度に振り回されない
- 失敗しても自分の価値を否定しない
- メンタルが安定している
これらは、競技者にとって極めて重要な資質です。 そしてこの自己承認は、他人の承認では育ちません。
自分が納得していないところを褒められても嬉しくない理由
競技者なら誰でも経験があるはずです。
- 自分では納得していないプレーを褒められても、モヤモヤする
これは、脳が「自己評価」を優先している証拠です。 つまり、自分が納得していない限り、他人の賞賛は“本物の自信”にはならないのです。
承認欲求の正体
──「自分が良い行いをした」と感じているからこそ求める
承認欲求は、他人から認められたいという欲求。 でもその根底には、「自分が良い行いをした」と感じている自分がいることを忘れてはいけません。
- SNSに投稿したくなるのは、頑張った自分を見てほしいから
- 誰かに褒められたいのは、自分でも「よくやった」と思っているから
つまり、承認欲求の出発点は自己満足なのです。 だからこそ、他人の承認よりも、自己承認してあげることが一番の自信をつける材料になる。
セルフコンパッション
──自分への思いやりが自信を育てる
近年注目されている心理学の概念に「セルフコンパッション」があります。 これは、自分に対して優しく接する力のこと。
- 失敗しても、自分を責めずに受け入れる
- 苦しいときに、自分に優しい言葉をかける
- 他人にするような思いやりを、自分にも向ける
このセルフコンパッションは、自己肯定感よりも安定した自信を育てると科学的に証明されています。
選手にとって、失敗やスランプは避けられないもの。 だからこそ、自分を責めるのではなく、自分を認める力が必要なのです。
自己満足が「世界を変える」理由
自己満足は、単なる気分の問題ではありません。 それは、行動の継続・習慣の定着・周囲への影響にまでつながる力です。
- 自分が納得していると、次の行動が自然に起こる
- 自分との約束を守ることで、習慣が定着する
- 自信がある人は、周囲にも安心感を与える
つまり、自己満足は「自分の世界」を変える力を持っているのです。 そして競技者にとって、その世界とは「競技人生」そのものです。
実践
──自己満足を育てるための3つの習慣
① 自分との約束を小さく設定する
「今日はこれだけはやる」と決めたことを守る。 それが自己満足の第一歩。
② 終わった後に「自分をほめる時間」をつくる
誰かに褒められる前に、自分で「よくやった」と言ってあげる。 脳はそれを報酬として記憶する。
③ 他人の評価より、自分の納得を優先する
「自分がどう感じているか」を軸にすることで、ブレない自信が育つ。
最後に
──「納得できる自分」を育てるために
あなたが今日まで積み重ねてきた小さな約束。 その一つひとつが、あなたの中に「変われる証拠」として残っています。
もし今、
- 自分との約束を守りたい
- 納得できる自分を育てたい
- 誰かに頼るのではなく、自分の軸で競技を続けたい そう感じているなら──
それは、すでに“変わり始めている証”です。
あとは、その感覚を言葉にして、誰かと共有するだけ。
私、上杉亮平は、競技者の「心の土台」を整えるために、 あなたの中にある“まだ言葉になっていない感覚”を、 一緒に言葉にしていく時間を提供しています。
体験コーチングは、何かを教え込む場ではありません。 あなたの中にある「納得できる自分」を、 あなた自身の言葉で見つけていくための、静かな対話の場です。
もし、今この文章を読んで「少し気になる」と感じたなら── その感覚を、次の一歩にしてみてください。 それが、あなたの“本物の自信”の始まりになるかもしれません。
最後までお読み頂きありがとうございました。
コラム著者