周囲の目に揺れてしまう君へ─大坂なおみから学ぶ自分軸を取り戻す思考法

「見られている自分」に縛られてしまう
競技中、観客の反応やコーチの表情が気になってしまう。 仲間の視線、SNSの評価、親の期待──それらが頭をよぎり、本来の自分のプレーが出せなくなる。 そんな悩みを抱える競技者は、決して少なくありません。
心理学では「社会的自己意識(Public Self-Consciousness)」と呼ばれ、他人の評価や視線を過剰に意識する状態。 この状態が続くと、判断力の低下・萎縮・自己否定につながり、競技力にも影響を及ぼします。
大坂なおみ選手も「周囲の目」に苦しんだ
世界ランキング1位、グランドスラム優勝──華々しい実績の裏で、大坂なおみ選手も「見られること」による重圧に苦しんできました。
- 試合後の記者会見で心ない質問を受け、精神的に追い込まれた
- 自分の感情を抑え込むことに疲れ、全仏オープンを棄権
- 「うつ状態だった」と告白し、メンタルヘルスの重要性を社会に提言。
彼女はこう語っています。
「逆境の中にいる瞬間は困難。でも、乗り越えた向こうには、必ずより良い自分が待っている」
この言葉は、周囲の目に揺れるすべての競技者に向けたメッセージでもあります。
周囲の目を気にする人が整えるべき「3つの軸」
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自分との約束を決める
「今日は○○だけはやり切る」「この場面では迷わず攻める」 他人の評価ではなく、自分との約束を守ることが自信につながる。
大坂選手も、試合前に「私は何がしたいのか」にフォーカスする瞑想を取り入れています。
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“見られている”を“応援されている”に変換する
視線を「監視」ではなく「期待」として受け取ることで、プレーの質が変わります。 実際、大坂選手は「相手が睨んでくるのは、なおみのペースになっているからだ」とコーチに言われ、視線の意味をポジティブに捉え直したそうです。
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完璧を求めない
「できない自分」を許すことで、心の平穏が生まれます。 大坂選手は「負けても空は青い。人生は楽しい」とコーチに諭され、完璧主義を手放すことで本来の力を発揮できるようになったのです。
周囲の目を“気にすること自体”は悪ではない
「気になること」は自然な反応であり、自己認識が高い証でもあります。 問題なのは、“それによって自分の軸が崩れること”。
むしろ、周囲の状況を察する力は、戦術判断やチーム連携に活かせる武器にもなります。 大切なのは、他者意識と自己意識を両立させる視点です。
実践ワーク:「見られている不安」を言語化してみる
- どんな場面で周囲の目が気になりますか?
- それは“自分の価値”と結びついていますか?
- その価値は、本当に外側の評価で決まるものですか?
こうした問いを自分に投げかけていくことで、評価されることへの渇望ではなく、納得できる挑戦への集中に意識がシフトしていきます。
周囲の声との向き合い方──「選び取る力」を育てる
親・指導者・仲間の声は、時に励ましであり、時にプレッシャーにもなります。 大切なのは、すべてを鵜呑みにするのではなく、“自分にとって必要な言葉”を選び取る力。
大坂なおみ選手も、コーチの言葉を「自分の軸に沿って受け取る」ことで、心の安定を保っていました。
SNS時代の競技者へ──「承認」より「選択」を軸に
今の競技者は、SNSで見られる機会が増えています。 その中で「どう見られるか」に意識が向きすぎると、“承認欲求”に振り回される危険性があります。
大坂なおみ選手もSNSで揺れた経験を経て、 「自分が何をしたいのか」「何を届けたいのか」に軸を戻すことで、発信と競技の両立を可能にしてきました。
最後に:どう見られるかより、どう在るか
競技とは“見られる場”でもあります。 でも、その中で揺るがない人は、見られることに耐えてきた人ではなく、「見る人に左右されない軸」を育ててきた人です。
あなたが自分らしく挑む姿は、誰かに届く前に、まず自分自身を動かす力になります。
どう見られるかより、どう在るか。 あなたの挑戦が、自分の心を動かす最初の観客になります。
心から、応援しています。
コラム著者