才能が開花する選手の共通点──それは“続けられる理由”を持っていること

「才能」という言葉に振り回されていませんか?
競技の世界にいると、どうしても「才能」という言葉がつきまといます。
「あの選手は才能がある」 「自分には才能がないのかもしれない」 「才能があればもっと早く結果が出ているはずだ」
そんな言葉が、胸の奥に重く沈むことがある。
結果を出した選手を見て、 「やっぱり才能が違うよな」 と感じる瞬間もあるでしょう。
でも、ここで一度問い直したいのです。
才能とは、本当に“生まれつきの差”のことなのでしょうか。
選手と向き合っていると、 結果を出す選手には、どこか共通しているものがあるように感じます。
それは、“続けられる理由”を持っていること。
大げさな理由ではなくても、その人の内側に静かに灯っている小さな理由が、苦しい時期を支え、積み重ねを途切れさせない。
そうした姿に触れるたびに、気づけば自然とこの考えに近づいていった── そんな感覚に近いのかもしれません。
「続けられる理由」がある人は、強い
競技者の成長曲線は、決して一直線ではありません。
- 伸びる時期
- 停滞する時期
- 何をしても結果が出ない時期
- 逆に、急に開花する時期
これらが複雑に絡み合いながら、選手は強くなっていく。
では、どんな選手が最後に突き抜けるのか。
それは、“続ける理由”を持っている選手です。
- 続ける理由がある人は、 苦しい時期でも腐らず、折れず、淡々と積み重ねられる。
- 続ける理由がある人は、 他者の結果に振り回されず、自分の道を歩ける。
- 続ける理由がある人は、 「今日もやろう」と自然に思える。
これは、才能と呼ばずして何と呼ぶのでしょうか。
才能が開花する選手に共通する「3つの理由」
才能が開花する選手には、必ず共通点があります。 それは、次の3つの“続けられる理由”を持っていることです。
① 競技が好きであること
競技が好きだという気持ちは、想像以上に大きな力を持っています。 結果が出ない日が続いても、苦しい練習に心が折れそうになっても、「好き」という感情があるだけで、人は不思議と前に進める。
失敗しても、悔しくても、 気づけばまた競技に戻ってきてしまう── その“戻ってきてしまう感じ”こそが、競技者にとっての大きな才能なんだと思います。
技術や体力はもちろん大切だけれど、 長い時間をかけて差を生むのは、結局この“好き”というエネルギー。 静かだけれど、強い。 そんな力が、選手を長く支えてくれる。
② 成長を感じられること
才能が開花する選手は、大きな成長よりも、ほんの小さな変化を大切にします。
フォームが昨日より安定した。 集中が途切れにくかった。 新しい感覚をひとつ掴めた。
こうした“わずかな前進”を拾える選手は、 自分の経過を信じることができる。 そして、その信じる気持ちが、また次の一歩を生む。
成長を感じられるというのは、 単に上達しているという意味ではなく、 “自分の歩みを肯定できる”ということ。 その感覚があるだけで、続ける理由は自然と強くなっていく。
③ 支えてくれる人の存在
才能は、本人だけの力で育つものではありません。 指導者の言葉、仲間の存在、家族の支え、応援してくれる人たち、 そして時にはライバルの背中。
そうした人たちの存在が、 「もう少し頑張ってみよう」と思わせてくれる。 たった一言、たった一瞬の関わりが、 選手の心をそっと押し出してくれることがある。
競技は個人の戦いに見えて、実は“関係性の中で育つもの”。 誰かがいてくれるから、続けられる。 誰かが見てくれているから、踏ん張れる。
才能は、一人では育たない。 そう感じる瞬間が、競技人生には必ずある。
才能が開花する選手は「比較の軸」が違う
才能が開花する選手は、他者の結果を見て焦りません。
なぜなら、比較の軸が“他者”ではなく“自分の経過”だから。
- 昨日の自分より成長しているか
- 去年の自分より強くなっているか
- 自分の課題に向き合えているか
この軸を持っている選手は、ブレない。
逆に、他者の結果ばかり見ている選手は、自分の成長を見失い、心が折れやすい。
才能が開花する選手は、 戦う場所を間違えない。
「続けられる理由」が弱っているとき、人は才能を誤解する
競技者が苦しくなるとき、 「自分には才能がない」と思いがちです。
でも、それは才能がないのではなく、 “続けられる理由が見えなくなっているだけ”。
- 結果が出ない
- 周りが伸びている
- ケガをした
- モチベーションが落ちた
- 自信がなくなった
こういう時期は、誰にでも訪れる。
その時に必要なのは、 才能の有無を疑うことではなく、 “続けられる理由を思い出すこと”。
続けられる理由は、最初から大きくなくていい
競技者は真面目だから、 「理由は立派でなければいけない」と思いがち。
でも、そんな必要はありません。
- うまくなりたい
- 勝ちたい
- もっと気持ちよく動きたい
- 自分を好きになりたい
- あの瞬間をもう一度味わいたい
こうした小さな理由で十分。
むしろ、小さな理由の方が、長く続く。
大きな夢は折れることがあるけれど、小さな理由は折れない。
才能とは「続けるための物語」を持っていること
競技者には、それぞれに歩んできた物語があります。
初めて競技に触れた日の、あの胸の高鳴り。
初めて勝った日の、身体の奥から湧き上がるような喜び。
初めて負けて悔しくて眠れなかった夜。
誰かの言葉に救われて、もう一度前を向けた瞬間。
自分を少しだけ誇れた、あの小さな成功。
そうした一つひとつの出来事が、 あなたを今日まで続けさせてきた理由になっている。
大きな夢や立派な目標だけが、選手を支えているわけではありません。 むしろ、こうした“自分だけの物語”が、静かに、確かに、あなたの背中を押してきた。
そして、その物語こそが、あなたの才能の源なのだと思います。
才能とは、生まれつきの差ではなく、 「続けるための物語を持っていること」
その物語があるから、あなたは今日も競技に向かえる。
その物語があるから、苦しい時期でも戻ってこられる。
その物語があるから、積み重ねが途切れない。
才能とは、あなたが歩いてきた道そのもの。 そして、これからも続いていく物語の中で育っていくものです。
才能は“続けた先”で開花する
競技者を見ていると、才能が開花する瞬間には、どこか共通しているものがあります。 それは──続けた人にしか訪れない、ということ。
続けているうちに、気づかないほど小さな変化が積み重なっていく。 技術が少しずつ積み上がり、身体が競技に馴染み、 メンタルの揺れ幅が小さくなって、判断が自然と洗練されていく。 そして、いつの間にか“自分のスタイル”のようなものが見えてくる。
こうした変化は、一つひとつは本当に小さくて、 その瞬間には「成長している」とすら思えないことも多い。 でも、積み重ねというのは、そういうものなんだと思う。
そしてある日、ふとしたきっかけで、 その積み重ねが一気に表面に出てくる瞬間がある。 周りから見れば「急に伸びた」「才能が開花した」と映るような、あの瞬間。
でも本当は、急でもなんでもなくて。 静かに続けてきた日々が、ようやく形になっただけ。
周りが「才能」と呼ぶものの正体は、 続けてきたあなたの努力の結晶なんだと思います。
最後に──あなたの才能はすでに始まっている
才能とは、生まれつきの差ではありません。
才能とは、 続けられる理由を持っていること。
そして、 続けられる心を育ててきたあなたの歴史そのもの。
もし今、苦しい時期にいるなら、 それは才能がないのではなく、 才能が育っている途中。
どうか、 他者の結果に惑わされず、 あなたの“続けられる理由”を大切にしてほしい。
その理由がある限り、 あなたは必ず強くなる。
そしていつか、 あなたの積み重ねが“才能”と呼ばれる日が来る。
最後までお読み頂きありがとうございました。
コラム著者