良い結果が想像できない競技者へ──再び前へ進むための思考法

はじめに──“良い結果が想像できない”という状態は、誰にでも訪れる
競技を続けていると、ふとした瞬間にこう感じることがあります。
「頑張っているのに、未来が見えない」 「結果が出るイメージが湧かない」 「このまま続けて意味があるのか分からない」
これは、決して特別な悩みではありません。むしろ、真剣に競技に向き合っている人ほど、こうした“想像の不在”に直面します。
そしてこの状態は、単なる不安やスランプではなく、心のエネルギーが一時的に枯れているサインでもあります。
ここでは、そんな状況に陥った競技者が、静かに自分を立て直すための視点と方法を、丁寧に綴っていきます。
“良い結果”の定義を見直す
「良い結果」とは何か?
競技者にとって、この問いはとてもシンプルに見えて、実は最も深いテーマです。
多くの選手は、 「良い結果=勝つこと」「良い結果=記録を出すこと」 と無意識に思い込んでいます。
もちろん、それらは大切です。 競技の世界で生きる以上、結果は避けて通れません。
しかし、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいのです。
その“良い結果”は、本当にあなた自身の言葉ですか?
それとも…
こうした“外側の基準”が、いつの間にかあなたの中に入り込んでいませんか?
他人の基準で生きると、未来は描けなくなる
「良い結果が想像できない」という状態は、実は 他人の基準で未来を描こうとしているときに起きやすい。
なぜなら、 他人の基準は、あなたの心の奥にある本当の願いと一致していないから。
一致していないものは、どれだけ頑張ってもイメージできません。
こうした外側の目的は、 あなたの内側にある生命力とは結びつかない。
だから、想像できないのです。
「良い結果」は“外側”ではなく“内側”にある
では、あなたにとっての良い結果とは何でしょう。 大きな勝利でも、派手な記録でもなくていい。 もっと静かで、もっと個人的で、もっとあなた自身に近いものかもしれません。
たとえば、「今日の自分は、自分らしく動けたな」とふっと思えた瞬間とか、 練習の途中で「あ、この一瞬は嘘じゃない」と胸が震えたプレーがあったとか、 帰り道に「今日の練習には意味があった」と自然に言える日があったり、 誰かと交わした何気ない会話の中で、競技を通してつながれたと感じられたり、 昨日よりほんの少しだけ前に進めた気がして、心のどこかが静かに温まったり。
そういうものです。
誰かに評価される必要なんてないし、 数字で証明する必要もない。 でも、自分の中では確かに“反応”が起きている。 言葉にしなくても分かる、
その反応こそが、 あなたにとっての“良い結果”なんだと思います。
外から見れば些細なことかもしれない。 でも、あなたの中ではちゃんと響いている。 その響きがある限り、競技は続けていけるし、 その響きがあるからこそ、次の一歩が自然に生まれる。
「良い結果」は“形”ではなく“状態”で捉える
多くの選手は、結果を「形」で捉えようとします。
しかし、形はコントロールできません。 相手も環境も、運も流れもある。
だからこそ、 結果を“状態”で捉えることが大切です。
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心が穏やかだった
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自分の軸を保てた
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恐れよりも挑戦を選べた
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自分のプレーに責任を持てた
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最後まで自分を信じられた
こうした“状態”は、 あなた自身が育てることができる。
そして、状態が整うと、 形としての結果も自然とついてくる。
「良い結果」を再定義するための問い
ここで、あなた自身に問いかけてみてください。
今の自分にとって、心が穏やかになる結果とは?
誰かに認められることより、自分が納得できることとは?
どんな状態で競技を終えられたら、今日を誇れるか?
どんな自分でいたいと願っているか?
競技を通して、何を大切にしたいのか?
これらの問いは、 あなたの内側に眠っている“本当の目的”を呼び起こします。
そしてその目的が明確になると、あなたにとっての“良い結果”が自然と見えてくる。
言葉にしてみる(書く・話す)
頭の中で考えているだけでは、想像は“もや”のまま留まります。
だからこそ、言葉にすることが大切です。
言葉にすることで、 “もや”が“輪郭”に変わり、想像が動き出します。
「言葉にできることは、動かせる」
これは、競技者にとって非常に大きな力になります。
想像できないなら
“小さな行動”を先にする
それでも想像ができないときは、まず動いてみる。
小さな行動が、“想像の種”になることがあります。
行動が先、想像は後。
これは、心が疲れているときの自然な順序です。
“誰かの言葉”に触れてみる
自分の中から想像が湧かないときは、外側の言葉に触れることも有効です。
誰かの言葉が、自分の内側に眠っていた“感覚”を呼び起こしてくれることがあります。
特に、競技者のリアルな声や、過去の自分が書いたメモなどは、目的を思い出すきっかけになります。
“想像できない自分”を責めない
最後に、これが一番大切です。
想像できない自分を責めないこと。
想像できないのは、止まっているからではなく、深く考えているから。
焦らなくていい。 無理に描かなくていい。
ただ、今の自分に優しく寄り添うこと。
それが、次の一歩につながります。
おわりに
──想像できない時間にも、意味がある
競技者にとって、「良い結果が想像できない」という状態は、本当に苦しいものです。 どれだけ真面目に取り組んでいても、未来がぼやけて見える時期は必ず訪れます。 でも、その時間は決して無駄ではありません。 むしろ、自分の軸に立ち返るための“静かな準備期間”のようなものです。
焦って未来を描こうとするのではなく、少しずつ、できるところから戻っていけばいい。
感覚に戻る。
自分にとっての“良い結果”の定義を見直す。
言葉にしてみる。
小さな行動を積み重ねる。
外側の言葉に触れてみる。
そして、想像できない自分を責めない。
こうした小さな積み重ねが、やがてあなたの中に眠っていた“想像する力”を静かに呼び戻してくれます。 そのときに浮かんでくる未来は、誰かの期待ではなく、あなた自身の意思で選び取った未来です。
そして、もし今まさに「どうしても一人では整えられない」「何から始めればいいのか分からない」と感じているなら、そんな時こそ、スポーツメンタルコーチの存在が役に立ちます。
競技者は、強くあろうとするあまり、悩みを抱え込んでしまいがちです。
でも、本当に苦しいときに必要なのは、“一人で頑張ること”ではなく、“誰かと一緒に整理すること”です。
あなたが今感じているその迷いも、不安も、言葉にならないモヤモヤも、 丁寧にほどきながら、次の一歩へつなげていくお手伝いができます。
もし少しでも「話してみたい」「整理したい」と思えたなら、 どうか勇気を出して相談してきてください。
まずは体験コーチングという形で、あなたの今の状態に寄り添いながら、 一緒に未来の輪郭を取り戻していきましょう。
今日も、あなたの競技人生が、静かに、確かに前へ進んでいきますように。
最後までお読み頂きありがとうございました。
コラム著者