スポーツメンタルコーチ上杉亮平
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自分で決めた感覚を信じる力がパフォーマンスを変える理由

 

なぜ「自分で決める感覚」が競技者にとって重要なのか

競技の世界では、指導者の言葉、チームの方針、世間の評価、あるいは最新の科学的知見など、外側からの情報が常に押し寄せてきます。

 

もちろんそれらは有益であり、成長のために欠かせないものです。

 

しかし、最終的に競技者を支えるのは「自分で決めた感覚」です。

 

「これが自分に合っている」「この選択を信じたい」という内側からの確信は、困難な場面で踏ん張る力となり、迷いの中でも自分を支える軸となります。

 

本稿では、競技者が「自分で決めた感覚」を大切にすることの意味を、心理学的根拠、哲学的視点、そして実践的なヒントを交えながら掘り下げていきます。

 

自己決定理論と「内発的動機づけ」

心理学の分野には「自己決定理論」という考え方があります。

 

人が本来持つ動機づけは、外的な報酬や評価によって強められることもありますが、長期的に持続するのは「内発的動機づけ」です。

 

つまり、「自分で選んだ」「自分で決めた」という感覚があるとき、人はより深く集中し、困難を乗り越える力を発揮します。

 

競技者にとって、この理論は非常に示唆的です。

 

練習方法、試合への準備、休養の取り方──それらを「誰かに言われたから」ではなく「自分で選んだ」と感じられるかどうかが、パフォーマンスの質を左右します。

 

感覚を信じることの怖さと価値

「自分で決めた感覚を大切にする」と聞くと、勇ましく聞こえるかもしれません。しかし現実には、それは怖さを伴います。

 

誰かに従っていれば、失敗したときに責任を転嫁できます。

 

自分で決めた場合、結果が悪ければ「自分の判断が間違っていた」と直視せざるを得ません。

 

この怖さこそが、自己決定の本質です。

 

責任を引き受けるからこそ、決断には重みが生まれ、感覚は研ぎ澄まされていきます。

 

失敗を経て「次はこうしよう」と修正する力も、自分で決めた経験からしか育ちません。

 

競技者にとって、この「怖さを受け入れる勇気」が、成長の大きな分岐点になります。

 

感覚と科学のバランス

現代の競技は科学的知見に支えられています。

 

栄養学、バイオメカニクス、心理学、データ分析──それらは競技者の可能性を広げる強力なツールです。

 

しかし、科学は「平均値」や「一般的傾向」を示すものであり、個人の感覚を完全に代替するものではありません。

 

例えば、あるトレーニング法が「多くの選手に効果的」とされても、自分には合わないことがあります。

 

逆に、科学的には非効率とされる方法が、自分にとっては心身のリズムを整える最良の手段になることもあります。

 

ここで重要なのは「科学を否定する」のではなく、「科学を参考にしつつ、自分の感覚を最終的な判断基準にする」ことです。

 

科学と感覚のバランスを取ることが、競技者の成熟を示す一歩となります。

 

感覚を育てるための実践

では、競技者はどうすれば「自分で決めた感覚」を育てられるのでしょうか。

いくつかの実践的なヒントを挙げます。

 

記録する習慣

練習や試合の後に「今日はどんな感覚だったか」を簡単にメモする。客観的なデータと主観的な感覚を並べることで、自分の傾向が見えてくる。

 

小さな選択を意識する

練習前のウォーミングアップを「今日はこの流れにしよう」と自分で決める。小さな選択の積み重ねが「自己決定感覚」を強める。

 

失敗を振り返るときの視点

「なぜ失敗したか」を外的要因に求める前に、「自分の判断はどうだったか」を考える。これが感覚を磨く最大の機会になる。

 

信頼できる人との対話

指導者や仲間に「自分はこう感じた」と伝える。対話を通じて感覚を言語化することで、曖昧な感覚が輪郭を持ち始める。

 

哲学的視点──「自己との約束」

哲学者キルケゴールは「人間は選択する存在である」と語りました。

 

選択とは、未来に対する自己との約束です。

 

競技者が「自分で決めた感覚」を大切にすることは、単なる技術的な話ではなく、「自分との約束を守る」という生き方そのものです。

 

この約束を守る姿勢は、競技の枠を超えて人生全般に影響します。

 

競技を終えた後も、自分で選び、自分で歩む力は、人生を豊かにする基盤となります。

 

感覚を信じることが生む「余白」

「自分で決めた感覚」を大切にすると、心に余白が生まれます。

 

外的な評価や結果に振り回されるのではなく、「自分で選んだ」という確信があるからこそ、失敗しても立ち直りやすくなる。成功しても過剰に浮かれず、次の挑戦に向かえる。

 

この余白は、競技者にとって最大の財産です。

 

余白があるからこそ、プレッシャーの中でも冷静さを保ち、長期的なキャリアを築いていけます。

 

最後のメッセージ

競技の世界は厳しく、結果がすべてのように見える瞬間もあります。

 

しかし、結果を生み出すのは「自分で決めた感覚」です。

 

誰かに従うだけではなく、自分の感覚を信じ、責任を引き受ける勇気を持つこと。

 

それが競技者を本当の意味で強くします。

 

「自分で決めた感覚を大切にする」──この言葉を、日々の練習や試合の中で思い出してください。

 

小さな選択の積み重ねが、やがて大きな自信となり、競技人生を支える揺るぎない軸となってくれるはずです。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

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