スポーツメンタルコーチ上杉亮平
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行動力が落ちるのはなぜ?――競技者が知っておくべき「防衛体力」という視点

 

行動力が落ちてきたとき、内部では何が起きているのか

競技を続けていると、 ある時期から「動き出すまでの距離」が長くなることがある。

練習に向かう準備はしている。 競技を嫌いになったわけでもない。 気持ちが切れたわけでもない。

それでも、身体が前に出ない。 スイッチが入るまでの時間が、以前より明らかに長い。

この状態を、 「やる気がない」「怠けている」と片付けるのは簡単。 だけど、競技者の内部で起きていることは、そんな単純な話ではない。

 
行動力が落ちるとき、心は確実に疲れている

 

ただし、その心の疲れは 気持ちの弱さとはまったく別物 と思ってほしい。

競技者の心は、 気持ちで身体を動かすことに慣れている。 だから、心が疲れても「気持ちの落ち込み」としては現れにくい。

 

その代わりに、 身体のほうが先に限界を察知して止まる。

 

  • 行動の初速が鈍くなる

 

  • 判断が遅くなる

 

  • 身体が重く感じる

 

  • 練習に入るまでの時間が伸びる

 

これらはすべて、 心の疲れが身体に現れているサイン。

つまり、

 

行動力が落ちる=心が疲れている

 

だけど、気持ちだけの問題ではない。

ここまでは理解しやすい。 だけど、ここで一つ疑問が生まれる。

 

なぜ「心が疲れている」のに、気持ちではなく身体の反応として現れるのか

 

ここは誤解されやすい部分。

まず前提として、 心が疲れると身体の反応速度が落ちるのは、一般人も競技者も同じ。

 

ただし、競技者には特有の事情がある。

 

競技者は、

 

  1. 気持ちで身体を動かす

 

  1. 疲れても練習に行く

 

  1. 痛みや緊張を日常として扱う

 

こうした習慣があるため、 心の疲れが気持ちの落ち込みとして表れにくい。

その代わり、 動き出しの鈍さ、判断の遅れ、身体の重さ といった 身体の反応として現れやすい。

 

※つまり、 「身体が止まる」というのは、 動き出すまでの反応が鈍くなる という意味であり、 実際に動けなくなるわけではない。

 

競技者は心の疲れに気づきにくい。 だからこそ、身体の反応が先に変化する。

この現象を正しく理解するために必要なのが、 防衛体力という視点。

 

防衛体力とは何か

防衛体力とは、 ストレスや負荷に耐え続けるための心身の基礎体力のこと。

筋力や持久力のように目に見えるものではないけれど、競技者のパフォーマンスを支える土台になっていると言える。

 

防衛体力が高いと、

  1. 集中が続く

  2. 判断がぶれない

  3. 気持ちが安定する

  4. 緊張に耐えられる

  5. 回復が早い

こうした競技者としての当たり前が自然に保たれる。

 

逆に、防衛体力が落ちると、

  • 行動の初速が遅くなる

  • 判断が鈍る

  • 身体が重く感じる

  • 気持ちが空回りする

  • 何をするにも腰が重い

 

こうした動き出せない感覚が出てくる。

つまり、 行動力が落ちるとき、心は疲れているけれど、その疲れは「気持ちの弱さ」ではなく、防衛体力が削られていることによって起きている。

 

競技者は気持ちで身体を動かせてしまうため、 心の疲れに気づきにくい。 そのため、 心より先に身体が止まる という現象が起きる。

 

行動力が落ちるとき、内部で起きている変化

 

1. 心の処理速度が落ちている

行動力が落ちるとき、 最初に落ちるのは「やる気」ではなく、 判断の速度 。

 

  1. 何から始めるか

 

  1. 今やるべきか後でやるべきか

 

  1. どの順番で動くか

 

この判断が遅くなると、 行動の初速が鈍くなる。

これは意志の問題ではなく、 心の処理能力が疲れているサイン。

 

2. 心の余白がなくなっている

競技者は、日常のほとんどを緊張の中で過ごしている。

 

  • 結果

  • 期待

  • 比較

  • 役割

  • 失敗できない空気

 

こうした負荷が続くと、 心の中の余白が削られていく。

余白がなくなると、 動き出すためのスペースがなくなる。

これは怠けではなく、 心が「これ以上詰め込むと壊れる」と判断している状態と言える。

 

3. 心と身体の方向がズレている

心の奥では、

  • 少し休みたい

  • 一度立ち止まりたい

  • 今のやり方に違和感がある

 

こう感じているのに、 行動はそれと逆方向に進んでいる。

このズレが大きくなるほど、 身体は動かなくなる。

これはサボりではなく、 心が方向を合わせ直す時間を求めているだけ。

 

4. 心が変化を始めると、一度静かになる

競技人生には、 必ずと言っていいほど、静かになる時期がある。

 

  • 以前のやり方がしっくりこなくなる

  • モチベーションの質が変わる

  • 何をしても手応えが薄い

 

これは後退ではなく、 心が次のステージに移る準備をしている状態。

変化の前には、必ず静けさが訪れる。

 

防衛体力を高めるための習慣

 

 深呼吸(腹式呼吸)

吸う:吐く=1:2 このリズムは、心身の緊張をほどく。

競技者は呼吸が浅くなりやすい。 呼吸が浅いと、判断も動きも雑になる。

 

疲れる前に休む

限界まで頑張るのは競技者の癖。 だけど、防衛体力を守るには逆が必要。

限界の手前で止める。

これは弱さではなく、 心身を長く使うための技術と言っても良い。

 

何もしない時間を20分つくる

スマホ・テレビ・音楽・本を全部手放して、 ただ20分、何もしない。

この時間の目的は 脳を休ませること。

競技者は、練習・試合・分析・人間関係など、 一日中ずっと情報を処理している。

 

脳は筋肉と同じで、 使い続ければ必ず疲れる。

ただ、筋肉と違って 痛みや張りとして自覚しにくい。

 

だから脳が疲れると、

  • 判断が遅い

  • 動き出しが重い

  • 集中が続かない

  • 何をするにも腰が重い

 

こういう 行動の鈍さ として出てくる。

20分の「何もしない時間」は、 脳にとっての 完全な休憩。

情報を入れ続ける限り、脳は休めない。 だからこそ、競技者ほどこの時間が必要になる。

 

最後に伝えたいこと

行動力が落ちるとき心は確実に疲れている。

ただし、その疲れは 気持ちの弱さではなく、 防衛体力が削られた結果として起きている。

 

だから、動けない自分を責める必要はないし、今必要なのは、 頑張ることではなく、 回復すること。

心と脳が回復すれば、 行動力は自然と戻る。

 

競技者としてのあなたの力は、 消えていない。 ただ、少し休ませる必要があるだけ。

是非休む勇気をもってみてください。

少しでも今回のコラムに興味をもって頂けた方は是非こちら

 

 

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最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

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