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「臆病」は弱さではない──宮本武蔵に学ぶ“恐れ”との向き合い方と競技者の成長論

 

「臆病」は本当に弱さなのか?

競技の世界では、「強さ」が求められます。 迷いや恐れを見せることは、時に「甘さ」や「弱さ」として扱われがちです。 しかし、私たちが感じる「臆病」は、本当に否定すべきものなのでしょうか。

剣豪・宮本武蔵は、晩年に著した『五輪書』の中で、戦いの技術だけでなく、心の在り方や生き方についても深く語っています。 彼は「構えることは後手であり、構えないことが勝ちに通じる」と説きました。 これは、恐れを感じたときに固まるのではなく、その感覚を受け入れ、動きに変えることの重要性を示しています。

臆病は、私たちの中にある「自己を守る本能」です。 それは、危険を察知し、身を守るためのセンサーであり、決して否定すべき感情ではありません。

 

臆病は「準備不足」を教えてくれる感覚

試合前、手が震える。 呼吸が浅くなる。 視野が狭くなる。 こうした身体の反応は、臆病のサインです。 しかしそれは、感覚が研ぎ澄まされている証拠でもあります。

臆病を感じるとき、私たちは「もっと準備が必要だ」と気づきます。 それは、心と身体が「整っていない」と教えてくれる内なる声です。

宮本武蔵は、戦いの前に「構えるな」と言いました。 構えるという行為は、相手の動きを待つこと。 つまり、受け身であり、後手に回ることを意味します。

臆病を感じたときこそ、先手を取る準備をする。 それが、武蔵の戦い方であり、現代の競技者にも通じる姿勢です。

 

臆病と勇気は、対立するものではない

私たちは、臆病と勇気を「相反するもの」として捉えがちです。 しかし、武蔵の哲学においては、臆病の中にこそ勇気があると考えられます。

恐れを感じながらも一歩を踏み出す。 不安を抱えながらも挑戦する。 それこそが、真の勇気です。

競技者にとっても同じです。 「怖い」と感じる瞬間は、成長の入り口です。 その感情を押し殺すのではなく、受け入れて、動くこと。 それが、競技者としての“本当の強さ”につながっていきます。

 

臆病は「戦略」を生む

臆病な人ほど、慎重に状況を読みます。 臆病な人ほど、相手の癖を見抜きます。 臆病な人ほど、無理をしません。

つまり、臆病は戦略的思考の起点なのです。

宮本武蔵は、相手の動きを読むこと、間合いを制すること、先手を取ることの重要性を繰り返し説いています。 それは、臆病という感覚を「情報」として扱い、勝ち筋を見出すための材料に変えていたということです。

競技者もまた、臆病を感じたときこそ、戦略を練るチャンスです。 その感覚を無視せず、冷静に分析し、行動に変えることが求められます。

 

臆病を「敵」にしない

多くの競技者は、臆病を「克服すべきもの」として扱います。 しかし、宮本武蔵はそれを「敵」とは見なしていませんでした。 むしろ、臆病を味方にする術を磨いていたのです。

臆病を感じたとき、まずはその理由を探ることが大切です。

 

相手が強いからでしょうか?

 

自分の準備が足りないからでしょうか?

 

過去の失敗が影響しているのでしょうか?

 

こうした問いを通して、自己理解が深まります。 そして臆病は、「自分を知るための鏡」になります。

競技者にとって、これは極めて重要な視点です。 自分の感情を無視して突っ走る者は、いずれ壁にぶつかります。 しかし、臆病を受け入れ、対話し、戦略に変える者は、長く、強く在り続けることができるのです。

 

臆病は「孤独」とつながっている

臆病は、誰にも言えない感情です。 「怖い」と言えば、弱いと思われる。 だからこそ、競技者は孤独になります。

しかし、宮本武蔵もまた、孤独の中で臆病と向き合い続けました。 彼は晩年、熊本の霊巌洞にこもり、自らの思想を『五輪書』にまとめました。 その背景には、恐れや迷いを抱えながらも、それを言葉にし、形にする強さがありました。

競技者もまた、孤独の中で臆病と向き合う時間が必要です。 それは、自分自身と対話する時間であり、成長のための静かな鍛錬です。

 

臆病は「美しさ」でもあります

臆病な人ほど、繊細で、優しく、深い。 それは、感受性が豊かである証です。 武蔵もまた、剣術だけでなく、書や絵画、建築にも通じた芸術家でした。

彼の作品には、静けさと深さ、そして恐れを抱えた人間の美しさがにじんでいます。

臆病は、私たちの中にある「人間らしさ」の証です。 それを否定するのではなく、美しく抱きしめること。 それが、競技者としての“本当の強さ”につながっていきます。

 

まとめ──臆病と共に歩む競技者へ

臆病は、競技者の敵ではありません。 それは、自分を守る感覚であり、成長への入り口です。

宮本武蔵は、臆病を否定せず、受け入れ、磨き、戦略に変えました。 そして、恐れを抱えたまま、前に進み続けました。

現代の競技者もまた、同じ道を歩むことができます。 恐れを感じたとき、逃げるのではなく、その意味を問い、行動に変える。 それが、競技者としての“本当の理解”であり、“本当の勇気”です。

臆病は、あなたの中にあります。 それを否定せず、共に歩むこと。 それが、勝負の場で“自分らしく在る”ための第一歩になるのです。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

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