スポーツメンタルコーチ上杉亮平
試合で力を発揮できないあなたへ、心の土台を整える伴走者
~アスリートを自己実現へと導く~
メニュー

“本番に弱い”は脳の防衛反応──メンタルブロックの正体と解除法

 

「練習ではうまくいくのに、本番になると力が出せない」 「頭が真っ白になって、何をすればいいか分からなくなる」 「自分は本番に弱いタイプなんだ」

競技者であれ、表現者であれ、あるいは受験生やビジネスパーソンであれ、 “本番”という言葉に緊張や不安を感じた経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

しかし、ここで一つ問いを立ててみたいのです。 「本番に弱い」とは、本当に“弱さ”なのでしょうか? もしかするとそれは、脳があなたを守ろうとしているサインかもしれません。

 

「本番に弱い」は、脳の正常な働き

まず知っておきたいのは、本番で緊張するのは“異常”ではなく、むしろ自然な反応だということです。

脳には「扁桃体(へんとうたい)」という部位があります。 ここは“危険”や“不安”を察知し、身体に警戒モードを促すセンサーのような役割を担っています。

本番というのは、脳にとって以下のように映ります。

 

  1. いつもと違う環境(=予測不能)

 

  1. 多くの視線(=評価される)

 

  1. 成否が問われる(=失敗できない)

 

これらはすべて、脳にとって“リスク”と認識される要素です。 その結果、交感神経が優位になり、呼吸が浅くなり、筋肉がこわばり、思考が狭まり、 「いつも通りのパフォーマンスが出せない」という状態に陥ってしまうのです。

つまり、“本番に弱い”のではなく、脳が「守ろう」としているだけ。 これは「防衛反応」であり、あなたの脳が正常に働いている証拠でもあります。

 

メンタルブロックの正体──「自分を守る思い込み」

では、なぜこの防衛反応が「ブレーキ」となってしまうのでしょうか? その鍵を握るのが、メンタルブロックです。

メンタルブロックとは、 「失敗したらどうしよう」 「自分にはできないかもしれない」 「また同じミスをするかも」 といった、無意識に自分を制限する思考パターンのことです。

このブロックは、過去の失敗体験や、周囲からの評価、自己否定的な言葉などによって形成されます。 そして本番という“非日常”の場面で、脳はこのブロックを呼び起こし、 「やめておけ」「失敗するぞ」とブレーキをかけてくるのです。

これは、車で言えば「アクセルを踏みながら、同時にブレーキを踏んでいる」ような状態。 当然、前には進みにくくなります。

 

「練習ではできるのに本番でできない」理由

この現象には、練習と本番の“脳の使い方”の違いが関係しています。

練習では、リラックスした状態で「自動化された動き」が出やすくなります。 しかし本番では、緊張によって「意識的な制御」が強まり、 普段は無意識にできていた動きが、ぎこちなくなるのです。

これは「パラドックス・オブ・コントロール(過剰制御の逆効果)」と呼ばれる現象で、 意識すればするほど、うまくいかなくなるという皮肉なメカニズムです。

 

メンタルブロックを解除する3つのステップ

では、どうすればこの“脳のブレーキ”を解除できるのでしょうか? ここでは、科学的根拠と実践知に基づいた3つのステップをご紹介します。

 

①「脳の反応」を知る──“緊張=敵”ではない

まず大切なのは、緊張や不安を「悪者扱いしない」ことです。

緊張は、あなたの脳が「大切な場面だ」と認識している証拠。 むしろ、集中力や反応速度を高めるための準備反応でもあります。

「緊張してきた、よし、脳が準備を始めたな」 そんなふうに、緊張を味方として受け入れる視点が、ブロック解除の第一歩です。

 

②「思考の焦点」を変える──“自己注目”から“目的注目”へ

本番で力が出ない人の多くは、「自分を見すぎている」傾向があります。 「失敗したらどうしよう」「うまく見せなきゃ」など、 “自己注目”が高まると、脳は防衛モードに入りやすくなります。

そこで有効なのが、「目的注目」への切り替えです。

 

  1. 「自分がどう見られるか」ではなく、「何を届けたいか」

 

  1. 「失敗しないこと」ではなく、「何をやり切りたいか」

 

このように、意識の焦点を“自分”から“行動”や“相手”に移すことで、 脳の緊張回路が緩み、パフォーマンスが安定しやすくなります。

 

③「脳に慣れさせる」──変動練習と“本番の再現性”

最後に重要なのが、脳に“本番”を経験させておくことです。

脳は「予測できること」に対しては安心し、「未知」に対しては警戒します。 つまり、本番を“未知”にしないことが、最大のブロック解除法なのです。

そのために有効なのが、「変動練習」や「本番のシミュレーション」です。

 

  1. 練習環境をあえて変える(時間・場所・順番・観客の有無など)

 

  1. 本番と同じ服装・道具・流れでリハーサルする

 

  1. 本番前に“挑戦モード”に入るルーティンをつくる

 

これらはすべて、脳に「これは知ってる」「大丈夫」と思わせるための準備です。

 

まとめ:「本番に弱い」は、あなたのせいじゃない

“本番に弱い”という言葉には、どこか「自分がダメなんだ」というニュアンスが含まれています。 でも実際には、それは脳があなたを守ろうとする“正常な反応”です。

そしてその反応を理解し、向き合い方を変えることで、 脳のブレーキは“アクセル”に変わっていきます。

 

  1. 緊張は敵ではなく、味方

 

  1. 自己注目ではなく、目的注目へ

 

  1. 本番を“未知”から“既知”へ変える

 

この3つの視点を持つことで、 あなたの中にある“本来の力”が、静かに、しかし確かに動き出します。

 

最後のメッセージ

もし今、「自分は本番に弱い」と感じているなら、 それは“弱さ”ではなく、あなたが真剣に向き合っている証です。

本番で緊張するのは、あなたがその場を大切に思っているから。 不安になるのは、うまくやりたいという願いがあるから。 そして、うまくいかないと落ち込むのは、あなたが本気だから。

だからこそ、まずは自分を責めないでほしい。 脳の仕組みを知り、感情の動きを理解し、 少しずつ“自分との信頼関係”を築いていくことが、 本番で力を発揮するための一番の土台になります。

あなたの中には、すでに“本来の力”がある。 それは、練習で出せた力でも、過去に感じた手応えでもなく、 今ここで、揺れながらも前に進もうとする意志そのものです。

本番に強くなることは、 自分を信じることから始まります。

焦らず、でも諦めずに。 あなたのペースで、あなたらしく、 その力を引き出していってください。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

その他のおすすめ記事

後悔の正体を解き明かす──なぜ生まれ、どう未来に活かせるのか 「後悔したくない」──この言葉を、競技者からも、日常の‥ 続きを読む
不快に挑む勇気が意志力を育てる──自己評価を変える脳科学 人はなぜ不快を避けるのか? 私たちは「やりたくない」‥ 続きを読む
すべての瞬間がチャンス──競技者の成長を支える認知の力 「これはチャンスだ」「これはピンチだ」──私たちは日‥ 続きを読む

【完全無料】アスリート必見!
心の壁を乗り越え
ベストパフォーマンス引き出す5つの秘訣!