スポーツメンタルコーチ上杉亮平
~アスリートを自己実現へと導く~
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ストレスは敵じゃない──挑戦が心を育てる

 

ストレスを避けるのではなく、味方にする視点を。 このコラムは、挑戦や冒険の中で揺れる心に寄り添いながら、科学と哲学の両面からその本質を紐解きます。
 

冒険と挑戦が“快ストレス”を生む科学と心のしくみ

「ストレス」と聞くと、私たちはつい身構えてしまう。 それは、疲れ・不安・不調といったネガティブな印象が強く結びついているからです。

けれど、ストレスは本当に“悪”なのでしょうか? 実は、ストレスには「あなたを育てる力」がある。 その力を引き出す鍵が──冒険すること、挑戦することなのです。

 

ストレスには“2つの顔”がある

私たちが日常で「ストレス」と呼ぶものには、実は性質の異なる2種類が存在します。 それが、ユーストレス(eustress)とディストレス(distress)です。

ユーストレスとは、ポジティブな意味を持つストレスのこと。 挑戦・好奇心・達成感・高揚感など、前向きな感情や行動を引き出す刺激として働きます。

 

たとえば──
  1. 試合前の緊張感が集中力を高める

 

  1. 新しいプロジェクトに取り組むワクワク感

 

  1. 自分の限界に挑むことで得られる達成感

 

これらはすべて、ユーストレスによって生まれる「快ストレス」です。 脳や身体は一時的に負荷を受けますが、それが成長や創造性を促すエネルギーに変わるのです。

 

一方で、ディストレスは、ネガティブな意味を持つストレスです。 過剰なプレッシャー・不安・恐怖・無力感など、心身に悪影響を与える刺激として働きます。

 

たとえば──
  1. 自分の意思に反して課される過剰な責任

 

  1. 逃げ場のない人間関係の緊張

 

  1. 長期間続く慢性的な疲労や不安

 

これらは、身体の免疫力を低下させたり、思考力や感情の調整力を奪ったりする「苦ストレス」です。 放置すると、心身の不調やバーンアウトにつながる危険性もあります。

重要なのは、ストレスそのものではなく、それをどう捉えるか。 同じ状況でも、「これは自分の成長につながる挑戦だ」と意味づけることで、 ディストレスがユーストレスに変わることがあります。

つまり、ストレスには“2つの顔”があり、 そのどちらが現れるかは、あなたの視点と心の在り方次第なのです。

 

科学的根拠①:ストレスの“意味づけ”が脳を変える

スタンフォード大学の心理学者ケリー・マクゴニガル氏は、著書『The Upside of Stress』でこう述べています:

「ストレスは、意味ある挑戦と結びついたとき、身体と脳を強化する。」

彼女の研究によると、ストレスを「脅威」ではなく「挑戦」と捉えた人は、 DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)という回復ホルモンの分泌が増加し、 学習能力・レジリエンス(回復力)・自己効力感が高まる傾向があるとされています。

さらに、ストレス時に分泌されるアドレナリンやノルアドレナリンは、 集中力・反応速度・判断力を一時的に高める作用があり、 競技者や挑戦者にとっては「パフォーマンス向上のスイッチ」とも言えるのです。

 

科学的根拠②:冒険が“脳の可塑性”を育てる

脳科学では、新しい環境や予測不能な状況に身を置くことが、 脳の「可塑性(plasticity)」──つまり変化し続ける力を高めるとされています。

慶應義塾大学の前野隆司教授は、「ワクワクする体験」が脳の前頭前野を活性化し、 創造性・柔軟性・幸福感を高めると述べています。

冒険や挑戦によって、脳は「未知に対応する力」を育て、 ストレス耐性と感情調整力が強化されるのです。

つまり、冒険とは「脳の筋トレ」。 挑戦とは「感情のしなやかさ」を育てる実践なのです。

 

快ストレスとは“生きている感覚”そのもの

 

快ストレスとは──
  1. 心が動いているという実感

 

  1. 自分の限界に挑んでいる高揚感

 

  1. できなかったことができるようになる達成感

 

  1. 予測不能な状況に身を置く冒険心

 

これらはすべて、“生きている感覚”を強く感じる瞬間です。 そして、ストレスを「快」として受け止めることで、 私たちは自分の能力・才能・魅力を最大限に引き出すことができるのです。

 

冒険と挑戦を選び続けるということ

冒険とは、結果が保証されない道を選ぶこと。 挑戦とは、失敗するかもしれない場所に立つこと。

でもその不確かさこそが、あなたの“心の筋肉”を育てます。

 

  1. 予測不能な状況に身を置くことで、柔軟性が育つ

 

  1. 自分の限界に挑むことで、自己信頼が深まる

 

  1. 失敗を経験することで、レジリエンス(回復力)が強くなる

 

冒険と挑戦は、あなたの“内なる力”を鍛える最高のトレーニングなのです。

 

ストレスを味方につけるための3つの問い
  1. このストレスは「誰かの期待」ではなく「自分の挑戦」から生まれているか?

 

  1. 今の緊張感に、“ワクワク”や“意味”を見出せているか?

 

  1. この状況を「脅威」ではなく「冒険」として捉え直すことはできるか?

 

これらの問いを通して、ストレスの“質”を変えることができます。 それは、心のしなやかさを育てる習慣でもあります。

 

最後のメッセージ

ストレスを避けることは、確かに楽かもしれない。 でも、そこには“成長”も“発見”もない。

あなたの中に眠る力は、冒険によって目覚める。 あなたの魅力は、挑戦によって磨かれる。

だからこそ、冒険しよう。挑戦し続けよう。 それが、あなた自身を育てる最も確かな道だから。

ストレスは、あなたの敵ではない。 それは、あなたの可能性を開く“味方”なのです。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

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