【続編】結果に相応しいメンタルを問い続ける支える側の日々

前回のコラム「毎日結果に相応しいメンタルを追い続ける日々」では、選手だけでなくサポートする側もまた、精神的な準備と覚悟を持つことの大切さを綴った。
あれから、実際にその言葉を日々体現しようとする中で、ある矛盾と気づきに出会った。
「結果に相応しいメンタルを手に入れよう」と伝えているはずなのに── 自分自身が、目の前の結果に感情を揺らされている瞬間がある。
契約の有無、反応の手応え、届いた言葉の深さ。 選手の変化を待つ中で、無意識に“結果ありきの心持ち”に陥っていることに気がついた。
まさか、自分が「整える」つもりで「引っ張られて」いたとは。 この気づきは、競技者の隣で真剣に向き合う日々の中でこそ、見えてくるものだった。
1. 「追い求める」と「引っ張られる」の境界線
競技者は結果を求める。 良いプレーができたら自信が湧き、ミスをすれば落ち込む。 これは自然なことだ。
でも、本当に「結果に相応しいメンタル」を整えるとは── その波に飲まれず、先に心の状態を育てておくことではないか?
その問いを選手に投げかけるならば、サポートする側もまた、同じ問いの中に居なければならない。 そして実際、自分自身の言動が「後追い」になっていた瞬間に、深い違和感があった。
それは、「とにかく結果に相応しいメンタル」という言葉の重さに、ようやく向き合い始めた瞬間だった。
2. 「とにかく結果に相応しいメンタル」という言葉の奥行き
この言葉は、私が尊敬するスポーツメンタルコーチの第一人者鈴木颯人さんがかけてくれたもの。 響きはシンプルだが、実践すればするほど、その含みと深さが身に沁みてくる。
“とにかく”とは、言い訳を挟まないということ。 “相応しい”とは、すでに結果に見合った精神を持っているということ。 “メンタル”とは、日々の選択の総体であり、ただの感情ではないということ。
この言葉は、日々の行動を整える「軸」になってくれている。 だからこそその軸が、ズレたときほど、自分がどこに立っていたかを教えてくれる。
3. 行動から整える「支える側の選択」
最近は、こんな問いを自分に立てるようになった。
- 目標が達成されている自分なら、今日何を選ぶだろう?
- 信頼が育っているコーチなら、どんな言葉を紡ぐだろう?
- “結果”を先に見据えた上で、どんな感覚で今を過ごすだろう?
この視点で一日を見直すだけで、 契約への不安や反応の濃度に心を持っていかれずに済むことがある。
そしてその態度こそが、選手の揺れに静かに寄り添える状態を作る。 共に深めるパフォーマンス。 支えるという行為が、いつの間にか「在り方」の表現になっていく。
4. 続けることが、伝わる形になる
「結果に相応しいメンタルを手に入れよう」と伝えることは、勇気がいる。 でもその言葉が本物になるのは、自分自身が問い続け、実践し続けているときだけだ。
だからこそ、この価値観を“伝える言葉”としてだけではなく、 “続ける行動”として日々選び直していきたい。
揺れることがあっても、戻ってくること。 引っ張られたとしても、問い直すこと。 それが、選手にも自然と届くものになる。
前編コラムとともに読むことで、より深くこの言葉に触れられるはずです
【前編コラム】「毎日結果に相応しいメンタルを追い続ける日々」
この続編では、言葉では語りきれなかった“日々の揺れ”と“選び直す覚悟”を綴りました。 読者の方にとっても、「支える側」としての在り方に触れる機会になれば幸いです。
コラム著者