スポーツメンタルコーチ上杉亮平
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水分補給は、競技者のメンタルを支える“静かな力”

 

「水分補給は“体”だけの話?」

──競技者の盲点にあるメンタルとの関係

競技者にとって「水分補給」と聞くと、体調管理やパフォーマンス維持のための基本的な習慣だと捉える方が多いかもしれません。試合前後の水分調整、練習中のこまめな補給、暑熱環境での熱中症対策──いずれも重要です。

しかし、実は水分補給は「体」だけでなく、「心」にも深く関係していることをご存知でしょうか。

競技者のメンタルコンディションは、技術的な課題や対人関係だけでなく、身体の状態にも大きく左右されます。近年の研究では、軽度の脱水状態が集中力の低下や情緒の不安定さを引き起こす可能性があることが示されており、実際に水分不足がパフォーマンスや感情面に影響を及ぼすケースも報告されています。

水分補給は、競技者の“脳と心”を支える静かな土台であり、見過ごされがちなメンタルケアの一つなのです。

 

「脳の75%は水」

──水分不足が感情と判断力に与える影響

人間の脳は、その約75%が水分で構成されています。 この水分は、神経伝達、血流、酸素供給、ホルモンバランスの調整など、あらゆる脳機能に関与しています。

軽度の脱水状態──たとえば体重の1?2%の水分が失われただけでも──脳の働きは明らかに鈍くなります。特に、感情や判断を司る「前頭前野」の機能が低下することで、イライラしやすくなったり、不安感が強まったり、集中力が続かなくなったりするのです。

さらに、脱水状態ではストレスホルモンである「コルチゾール」が増加する傾向があることも報告されています。これは、情緒の不安定さや疲労感の増幅につながります。自律神経のバランスも乱れやすくなり、睡眠の質が下がったり、気分の落ち込みが強くなったりすることもあります。

つまり、水分不足はメンタルの不調を引き起こす“静かな引き金”なのです。

 

「水分不足でメンタルが崩れる」

──実際に起きている事例

水分不足が原因でメンタルが崩れた事例は、医療・教育・競技の現場でも報告されています。

たとえば、大学生を対象とした調査では、水分摂取量が少ない人ほど不安感や疲労感が強く、集中力が続かない傾向があることが示されています。また、精神疾患を持つ方や高齢者が脱水状態に陥ったことで、幻覚・錯乱・せん妄などの症状が現れた事例もあります。

競技者にとっても、試合前後や練習中は発汗によって水分が失われやすく、知らず知らずのうちに「隠れ脱水」状態になっていることがあります。その結果、感情の揺れや判断ミス、モチベーションの低下などが起こる可能性があるのです。

「最近イライラしやすい」「集中できない」「気分が沈む」──そんな不調の原因が、実は水分不足だったというケースは決して珍しくありません。

水分補給は、単なる体調管理ではなく、メンタルの安定を支える“静かな予防策”でもあるのです。

 

「飲んでるつもり」が危ない

──水分補給の落とし穴と選び方

水分補給の重要性は理解していても、「何を飲むか」まで意識できている人は意外と少ないかもしれません。

たとえば、ジュースやスポーツドリンクを水分補給のつもりで飲んでいる場合。これらには糖分が多く含まれており、浸透圧の関係で吸収効率が下がることがあります。糖分が多いと、胃腸での吸収が遅れ、結果的に水分補給にならないこともあるのです。

また、カフェインを含む飲料(コーヒー・紅茶・緑茶など)は利尿作用があるため、摂取した以上に水分が排出されてしまうことがあります。カフェインを摂る場合は、プラスで水分を補う意識が必要です。

つまり、「飲んでいるつもり」が「補給できていない」状態を招くことがあるのです。

競技者にとっては、吸収効率や体内バランスを意識した選択が、メンタルにも直結します。基本的には「水」または「ノンカフェイン・無糖の飲料」を選ぶことが望ましいでしょう。

 

「心を整える習慣」

──競技者のための水分戦略

では、競技者はどのように水分補給を習慣化すればよいのでしょうか。

まず大切なのは、「喉が渇く前に飲む」ことです。喉の渇きは、すでに脱水が始まっているサインです。こまめに、少量ずつ、意識的に水分を摂ることが理想です。

1日の目安としては、体重×30mlが基本です。たとえば、60kgの競技者であれば約1.8L。運動量や気温によっては、2?2.5Lを目安にするとよいでしょう。食事からの水分も含まれますが、飲料としての水分摂取は欠かせません。

運動前後や集中作業の前後は、特に水分が失われやすいタイミングです。試合前の水分調整と、試合後のリカバリー補給では目的が異なるため、それぞれに応じた量とタイミングを意識することが重要です。

水筒を持ち歩く、スマホのリマインダーを使う、水分管理アプリを活用するなど、習慣化の工夫も効果的です。

水分補給は、最もシンプルで、最も効果的なメンタルケアです。 競技者としての強さは、技術や体力だけではなく、心の安定によって支えられています。

 

「簡単だからこそ、見落とされる」

──いますぐできる小さな積み重ね

水分補給の大切さは、誰もが知っています。 でも、知っているからこそ、軽視されやすい。 簡単だからこそ、後回しにされやすい。 そして、当たり前すぎて、盲点になっている。

でも、だからこそ、価値があるのです。

水を飲むという行為は、誰にでも、いますぐできる。 その小さな積み重ねが、集中力を支え、感情を整え、競技力を底上げしていきます。

「水を飲む」という選択に、誇りを込めてみてください。 それは、あなた自身の“心を整える習慣”になります。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

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