スポーツメンタルコーチ上杉亮平
~アスリートを自己実現へと導く~
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信頼は自分を見つめる時間から始まる

 

「外を照らす前に内を照らせ 己を知らずして何を知ろうか」 この言葉は、競技者に寄り添う私自身の在り方を問い続けてくれる言葉です。 ここでいう“外”は選手の心、そして“内”は私の心。 選手に何かを届ける前に、まず自分自身が整っているか──それが私の原点です。

 

自分を深く知ることから、関わりは始まる

選手たちの心は、目に見えないからこそ繊細です。 彼らが言葉にしない思い、試合前の不安、努力の中で揺れる自己評価。 それらと真正面から向き合うには、まず私自身の心の構造を知っておく必要があります。

どんな瞬間に私は焦るのか。 どんな言葉に反応しやすいのか。 無意識の感情がどんな振る舞いに出るのか──それを自覚していなければ、善意でさえ“圧”になることがあると感じています。

「選手のために」と思う気持ちが強いほど、自分自身の未整理な理想像や感情が選手に投影される可能性があることにも気づきました。 過去の自分が乗り越えられなかった感情を、無意識に押しつけてしまうことさえある。 だからこそ、自分を深く知ることは、選手の未来を邪魔しないための“静かな責任感”でもあると感じています。

私は、自分自身と向き合う時間を習慣にしています。 書き出すこと、問いを立てること、身体と心の感覚を照らし合わせること──それらは、選手の前に立つ「私という空気」を整えるための営みです。

 

コーチングは、導くことではなく「見つめる姿勢を渡すこと」

私がコーチングで大切にしているのは、“答え”ではなく“姿勢”です。 選手が自分自身の内面に気づき、それを育てる力を持つこと。 そのためには、私自身がその姿勢を日々体現している必要があります。

正解を伝えるのではなく、問いの立て方や迷い方を見せることで、選手は自分の奥に手を伸ばしていける。 それは、対話の中で育っていくものです。 一方通行の指導ではなく、共に考える時間。 分析ではなく共鳴。 それが可能になるかどうかは、私の心がどれだけ静かで誠実に整っているかによると感じています。

 

“整っている”とは、揺れている自分を知っていること

選手との対話の中で、「私がどう整っているか」が空気にそのまま反映されていると感じる場面があります。 言葉よりも、目の動き、呼吸、沈黙──そういった“言葉にならない情報”にこそ、心は映るのです。

整っていない時には、意図せず圧や不安を生み出してしまうこともあります。 「この言葉でよかったか?」「本当に寄り添えているか?」 そんな自問に目を逸らさずにいること自体が、整える営みだと私は受け止めています。

揺れる感情に気づいたら、すぐに整えようとせず、まずはその揺れの声を聞く。 心のノイズは、ただ消す対象ではなく、自分の価値観や恐れを映している“内なるメッセージ”でもあります。 整っているとは、感情がないということではなく、揺れた自分を受け止め、言葉にする準備ができていること。 そしてその距離感が、選手との間に“安心”を生み出してくれるのだと思います。

 

まとめ:心を整えるとは、寄り添う準備をすること

誰かに寄り添うには、まず自分自身に誠実であること。 それが、私がコーチとして大切にしているスタートラインです。 外を整える前に、内を整える──その順序が、選手と深く繋がれる土台になると信じています。

整った心は、沈黙に強さを持たせます。 言葉に頼らなくても、空気が伝えてくれる安心感。 その安心感こそが、選手の自己開示を促し、信頼関係の起点になるのです。

私はこれからも、自分自身の整い方と向き合い続けながら、選手たちと誠実に向き合っていきたいと思います。 その姿勢こそが、“心を育てる技術”として、競技人生に光を差すものになると信じています。

 

最後に添えたい言葉

どれだけ知識を蓄えても、どれだけ経験を重ねても──自分自身の心を見つめる作業に終わりはありません。 整うという感覚は、完成ではなく「問い直し続ける勇気」だと思うのです。 私は今日も、自分の揺れや違和感に耳を澄ませながら、選手の言葉が本当に届くための余白を整えています。 心を育てる営みとは、静かな沈黙の中で、自分に誠実であり続けること。 その姿勢こそが、誰かにとっての安心感になる。 私はその可能性を信じて、目に見えないものと向き合い続けていきたい。

コラム著者
プロスポーツメンタルコーチ上杉亮平
全てのアスリートが競技を楽しみ、自分らしさを輝かせる世界を創る。ことを目指し
「メンタルで視点(せかい)が変わる」この言葉胸にアスリートを自己実現へと導くサポートをしています。詳しくはこちら

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