最強の心とは──国枝慎吾が示した“勝つ思考”

車いすテニス界のレジェンドが教えてくれる、心の勝ち方
挑戦の原点──“できない”から始まった物語
9歳で脊髄腫瘍を患い、突然車いす生活となった国枝慎吾さん。 野球少年だった彼は、母の勧めで11歳から車いすテニスを始めます。最初は気乗りしなかった──でも、「やってみたら楽しかった」。この感覚が、すべての始まりでした。
高校時代の海外遠征で世界のトップ選手に衝撃を受け、「この世界で頂点を目指す」と決意。 その後、丸山弘道コーチとの出会いが、彼の競技人生を本格的に動かし始めます。
「俺は最強だ」──言葉が心を支える武器になる
2006年、世界ランキング10位だった国枝さんは、メンタルコーチのアン・クイン氏と出会います。 そのとき言われたのが、「“なりたい”じゃなく、“自分はナンバーワンだ”と断言すること」。
以来、彼は鏡の前で毎日「俺は最強だ!」と唱え続けました。 試合中もラケットの内側にその言葉を貼り、自分の心に言い聞かせるようにプレーしたのです。
このアファメーションは、単なる自己暗示ではなく、不安や迷いを断ち切る“心のルーティン”でした。
プレッシャーとの向き合い方──「ゾーンを目指さない」
国枝さんは「試合が楽しいと思ったことはない」と語ります。 むしろ、試合前は不安と恐怖に襲われることが多かった。そんな中で彼が選んだのは、ゾーンを目指すのではなく、70%の力でも勝てる準備をすること。
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「完璧な状態は幻想。だからこそ、調子が悪くても勝てるように準備する」
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「ゾーンに入ることを期待するより、日々の積み重ねで勝てる力を育てる」
この考え方は、“勝つための現実的なメンタリティ”として、多くのアスリートにとっても示唆に富んでいます。
ノートに刻んだ自分との対話──「残り15,000球」
国枝さんは、日々の気づきや課題をノートに書き続けていました。 あるページには「残り15,000球」と記されていたそうです。これは、ある技術を習得するために必要な練習量を数値化したもの。
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「昨日よりいいプレーができたか?」
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「あきらめなかったか?」
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「何を変えたら、次は勝てるか?」
こうした問いを自分に投げかけ続けることで、“自分を評価し、自分に挑戦する”という姿勢を貫いてきました。
「負けた数が、自分を成長させる数」
国枝さんは、負けることを恐れません。むしろ、負けることで何を学べるかを常に考えていました。
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「負けるたびに、気づきがある」
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「その負けをどう料理して、次に活かすかが面白い」
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「勝ち続けるより、負けてからの練習の方が濃い」
この“吸収力”こそが、彼を世界最強へと導いた原動力です。
「誰かのために挑む」──使命感が心を燃やす
東京パラリンピックでは、日本選手団の主将として出場。 金メダルを獲得した瞬間、涙を流しながら語ったのは「重圧があるからこそ、勝利の味は格別になる」という言葉。
そして、こうも語っています。
「車いすテニスって面白いと感じてもらいたい。だから、勝つだけでなく、魅せながら勝つテニスをしていきたい」
自分のためだけでなく、未来の選手たちのために挑み続ける姿勢。 それが、国枝慎吾という人間の“本当の強さ”なのかもしれません。
「最強」とは、心の在り方である
国枝慎吾さんのヒストリーは、 「障害を乗り越えた人」ではなく、「心を育て続けた人」の物語です。
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「俺は最強だ」と言い聞かせる勇気
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負けを受け入れ、学びに変える柔軟さ
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誰かのために挑む使命感
これらすべてが、“本当の強さ”とは何かを教えてくれます。
挑戦するあなたへ──国枝慎吾さんの言葉とともに
もし今、結果が出なくて焦っているなら もし不安や葛藤を抱えながら競技に向かっているならそれは“弱さ”ではなく、“挑んでいる証”です。
国枝慎吾さんが毎日鏡の前で「俺は最強だ」と唱え続けたように、 あなたにも届いてほしい言葉があります。
「俺は、自分を信じる」
- 勝てる保証は誰にもない。 だからこそ、心の中で自分と約束することは、今日からすぐにできる。
- 未来は、誰にもわからない。 だからこそ、今この瞬間に本気で取り組む人こそ、 いつか“本物の強さ”に辿り着けるのだと思います。
あなたの挑戦が、あなた自身を強くする。 今日の一歩が、きっと明日の誇りになる。
心から、応援しています。