ジュニア世代のメンタルコーチング:保護者の関与は必要か?

ジュニア世代のメンタルコーチングにおいて保護者の関与は必要か?
競技者のメンタルを整え、育てることがメンタルコーチングの目的です。しかし、保護者への報告は本当に必要なのでしょうか? 監督やコーチ、そしてメンタルコーチまでもが保護者とつながっていると選手が感じてしまったら、選手は本音を話せるでしょうか?
もし「少しでも繋がっている」と思った瞬間、100%の信頼関係は築けないかもしれません。 この仕事は選手との信頼関係で成り立つものであり、1%でもリスクがあるならば避けるべき——これは、スポーツメンタルコーチとして私が最も大切にしている考え方です。
1. メンタルコーチングの本質——選手との信頼関係が最優先
信頼関係が必要な理由
- 選手が安心して本音を話せる環境がなければメンタルの成長は簡単ではない
- 保護者とのつながりを感じた瞬間、選手は「報告されるかもしれない」という不安を持ち、本音を話しにくくなる
- 信頼関係が確立されていないと、メンタルコーチングの効果は大幅に低下する
競技者のメンタルは、本人の内面に深く関わるものです。 だからこそ、選手が「絶対に信頼できる」と思える環境を作ることが最優先であり、そのためには報告義務を排除することが重要です。
2. 保護者の役割——信じることが最大のサポート
ジュニア世代の選手を支える保護者にとって、「何をしているのか気になる」のは当然かもしれません。しかし、私はこう考えます。
保護者に伝えたいこと
- 選手のメンタルコーチングは、選手本人の成長を目的とする
- 何をしているのか気になるなら、コーチではなく本人に聞くのが最適
- 親が持つべき意識は「信じること」——選手自身の決断を尊重することが大切
選手が本気でメンタルを強化したいなら、自分で親を説得し、主体的にコーチングを受けるべき。 私は「ジュニア世代であろうとプロ意識を持ってほしい」と考えており、選手に対しても「自分がメンタルコーチを雇っている」という意識を持ってもらうよう伝えています。
3. 契約のあり方——誰と結ぶのかを意識する重要性
スポーツメンタルコーチングは、選手のためのものです。
意識すべきポイント
- 誰と契約し、どんな信頼関係を築くべきなのか、選手自身が理解することが重要
- 選手との「直接的な契約関係」を意識し、保護者が介入しすぎない環境を整える
- 選手の主体性を育てることで、メンタルも育ち、競技力も向上する
選手が「自分の成長のためにコーチングを受ける」という意識を持つことで、より大きな成果を得ることができるのです。
4. まとめ——メンタルコーチングの本質を守ることの重要性
保護者に伝えたい最も大切なこと
- 選手がコーチングを受ける主体であり、保護者が介入する必要はない
- 保護者の役割は「信じること」——選手のメンタル強化のプロセスを尊重する
- 選手自身が「コーチを雇っている」という意識を持ち、主体的に行動することが成長につながる
最も大切なのは「選手との信頼関係」 この関係を守るために、メンタルコーチングは保護者への報告義務を必要としない。 それは、選手のメンタルを育て、競技力を向上させるための最適な環境をつくるための決断なのです。
コラム著者