「自分が変わる」という選択──競技者が持つべき責任の本当の意味

競技者がつまずくのは、原因を自分以外に置いたとき
競技者がつまずく瞬間には、ある共通点がある。 それは、出来事の原因を自分以外のどこかに置いたとき。
思い通りに身体が動かないとき、結果が出ないとき、焦りや不安が強くなったときに、人はつい、 相手の態度や状況の流れ、環境の変化など、 自分とは別の要因に意味づけをしてしまう。
その瞬間、 主体性は無くなり、 未来を選ぶ力が弱まっていく。
本当に大切なのは、 これからの自分がどんな選択をするか”という一点だけ。
責任とは、 誰かを責めるための言葉ではなく、自分を縛るための言葉でもない。
むしろ逆だと言える。責任とは、未来を創るためのパワーそのもの。
責任は「過去」ではなく「未来」に対して発生するもの
多くの選手がつまずくのは、責任という言葉を過去に向けてしまうとき。
「あの時の判断が悪かった」 「あのミスは自分のせいだ」 「あの場面でこうすべきだった」
こうした振り返りは、一見すると前向きに見えるけれど、どれだけ考えても過去は変えられない。 すでに起きてしまった出来事に対して、人は責任を取ることは不可能。
だからこそ、 過去に責任を向けることは、ただ自分を責め続けるだけになり、 未来への選択肢を狭めてしまう。
本来、責任とは未来に対して発生するもの。 これから自分がどう選ぶのか。 どんな行動を積み重ねるのか。 どんな自分でありたいのか。
その方向性を決める力こそが、責任の本質。
つまり責任とは、 未来の自分を創る権利であり、 自分の人生を自分で選ぶ自由であり、 前に進むためのパワーそのもの。
責任とは、過去を悔やむための言葉ではなく、未来を形づくるための言葉。
「責めを負う」と「責任をとる」はまったく別物
ここを混同すると、競技者のメンタルは一気に崩れる。
- 責めを負う:過去に意識が向く
- 責任をとる:未来に意識が向く
責めを負うと、 人は縮こまり、萎縮し、行動が止まる。
責任をとると、 人は自由になり、主体性が戻り、行動が生まれる。
責任とは、 「自分が変わる」という選択。
だから責任は、競技者にとって最大のパワーになる。
他責は楽だけど、未来を奪う
他責とは、 「相手のせい」「環境のせい」「運のせい」と考えること。
これは一時的には楽。 自分を守れるし、痛みを感じなくて済む。
しかし、他責が癖になると、人はこう考えるようになる。 「自分は悪くない。だから変わる必要もない」と。
その結果、改善は起こらず、 同じ出来事が何度も繰り返されていく。
そして最後には、 「自分は運がない」というセルフイメージが静かに形づくられ、 抜け出しにくいループが完成してしまう。
他責とは、 未来を自分で選ぶ力を手放し、 被害者として生きる人生をつくり出す考え方と言える。
アリとキリギリスの物語は「責任と被害者」の寓話でもある
童話「アリとキリギリス」は、 努力と怠惰の話として語られることが多い。
しかし大人の視点で読み直すと、 これは 責任を生きるアリと 被害者として生きるキリギリスの物語と捉えることができる。
アリは「未来に責任を持った」
アリは、未来に責任を持って生きていた。 夏のあいだに準備を進め、やがて訪れる冬に備え、 自分の未来を自分で選び取っていた。
その姿は、 これからどう生きるかという視点を手放さない存在そのもの。 アリは、未来に対して責任を持つとはどういうことかを体現している。
キリギリスは「今の快楽に責任を放棄した」
夏のあいだは遊びに時間を使い、 冬のことを考えることもなく、 自分の未来を環境に委ねて生きていた。
そして冬が訪れたとき、 キリギリスは一気に被害者の立場へ追い込まれる。
「寒い」「食べ物がない」「助けてくれ」 そう訴えるしかなくなり、 未来を自分で選ぶことができない状態に陥ってしまう。
ここで重要なのは、 キリギリスが悪いわけではないということ。
ただ、 被害者として生きると、未来を自分で選べなくなる。
責任を持つとは、 未来を自分の意志で選ぶこと。
責任を持つと、競技者は自由になる
責任とは、 「自分が変わる」という選択。
だから責任を持つと、 競技者は驚くほど自由になる。
その選択が生まれた瞬間から、行動が生まれ、改善が進み、 やるべきことの再現性が高まっていく。 小さな成功体験が積み重なり、自信が戻り、 自分が向かいたいビジョンに向けてエネルギーが湧き始める。
責任とは、 未来を形づくるための創造のパワーそのもの。
被害者の人生か、責任の人生か
どちらが正しいわけではない。 どちらを選んでもいい。
ただし、被害者は未来を選べない。 責任を持つ人は未来を創れる。
競技者としてどちらを生きたいか。 それだけの話。
自責でいられるためのトレーニング
責任を持つ力は、筋肉と同じで鍛えられる。
① 過去の出来事を責めるのではなく責任で振り返る
-
何が起きたのか
-
どんな選択をしていたら避けられたか
-
未来に活かせる学びは何か
ここで大事なのは、 自分を責めないこと。
責任とは未来の話だから。
② 選択日記をつける
その日の中で、
これを書くだけで、 主体性が戻り、責任の筋力が強くなる。
③ 他責に気づいたら「未来に戻る」
他責は悪ではなくただの癖。
気づいたら、 「じゃあ未来に向けて自分は何を選ぶ?」 と問い直せばいい。
最後に
責任とは、競技者にとって最強の未来創造スキル
責任とは、 誰かを責めるための言葉ではない。
責任とは、 未来を自分で選ぶ力。
責任とは、 自分が変わるという選択。
責任とは、 競技者を自由にし、強くし、前に進ませるエネルギー。
アリのように、 未来に責任を持つ生き方を選ぶか。
キリギリスのように、 環境に未来を委ねるか。
どちらが正しいわけでもない。 ただ、 未来を創りたいなら、責任を選ぶ。
それだけで、 競技者の人生は大きく変わる。
責任という言葉を、重く抱え込む必要はない。 ただ、これからの自分を少しだけ前に進めるための視点として受け取ってほしい。
最後までお読み頂きありがとうございました。
コラム著者